【情シス奮闘記】第4回 ICタグで棚卸し作業改革 自前システムが競争力の源泉 デファクトS

  • 2016/11/1
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2016/11/01

モデルの菜々緒さんを起用したCMでおなじみの「ブランディア」。靴やバッグ、アパレル、アクセサリーなどのブランド品を買い取るサービスとして、その利用者数は累計150万人を超える。買い取ったブランド品は、ブランディアオークションやヤフーオークション、楽天などを経由して販売されている。

このブランディアを中核事業に据えているのがデファクトスタンダードだ。同社は2016年8月31日、東証マザーズに上場。株式公開で資金調達力を引き上げることで、事業のさらなる強化を図っている。

そんな中、同社では、ICタグを使った倉庫内の在庫を管理するシステムの導入を始めた。買い取り品が急速に増える中、在庫を効率的に把握し、棚卸し作業の効率化を図るのが狙いだ。システムを導入した経緯と導入後の効果について、ソリューション部 間谷力プランナーに話を聞いた。(取材・文:和田貴紘)

デファクトスタンダード ソリューション部 間谷力プランナー

デファクトスタンダード ソリューション部 間谷力プランナー

年々増える在庫点数、棚卸しの業務変革が不可欠に

靴やバッグ、アパレルなどの物品を販売する事業では、物品をリアルタイムで把握するシステムが重要になる。デファクトスタンダードも例外ではない。買い取り品数が急速に増え続けている同社にとって、在庫品を把握する倉庫管理システムは“基幹システム”といえるほど重要だ。

同社は2015年5月に在庫の増加に伴い倉庫を移転した。移転によって敷地面積を4000坪と東京ドームのグラウンドとほぼ同じ広さに拡張。オフィスとともに事業拠点を都内に構えた。現在は約40万点もの在庫を倉庫に保管。最近では買い取り品が1年につき約10万点ずつ増えているという。

デファクトスタンダードの倉庫。約40万点の商品を保管している

デファクトスタンダードの倉庫。約40万点の商品を保管している

在庫の増加によって手間がかかるようになったのが倉庫内での棚卸し作業だ。同社の場合、四半期ごとに棚卸しを実施。在庫数が10~15万点程度の頃は、商品に付けられているナンバーを2人1組となり1点ずつ読み上げて照合するという「非常にアナログ的な方法」(間谷プランナー)で行っていた。その結果、棚卸しだけで1週間を要することも少なくなかったという。しかし、在庫が急速に増加したことで、こうした“人海戦術”による作業に「限界を感じるようになった」(同)。

そこで、2013年に作業負荷を軽減する目的でバーコードリーダーを導入。商品に付与したタグをリーダーで読み込んで照合することで、棚卸しにかかる負担と時間の削減を図った。翌年にはバーコードリーダーをスマートフォン(スマホ)に対応させ、リーダーをパソコンに接続して持ち歩くわずらわしさをなくすことで、棚卸し業務の効率性をさらに高めようとした。それでも在庫数が25万点を超えてくると、棚卸しを終えるには160人体制で800時間もかかっていたという。

一連の取り組みは、当時直面していた課題を解決するのが主な目的だった。一方で「今後も買い取り品はさらに増えることが予想される。数年後には在庫が100万点を超えることも視野に入れなければならない。将来を見据えた時、抜本的な業務改革を断行する必要があった」(同)という。

現場の業務効率を考慮し、スモールスタートでICタグを導入

そこで、将来の在庫増に対応すべく新たに導入したのがICタグだ。中古品を扱うEC(電子商取引)では業界初という。ICタグはバーコードと違い、タグを読み取る専用のテーブルスキャナーに商品を置くだけで認識できる。商品に付与したタグをバーコードリーダーで1点ずつ読み取る必要がない。複数の商品をスキャナーに置いて、一度にタグを読み取ることも可能だ。

デファクトスタンダードが使用しているICタグ(左)とICタグが取り付けられたバッグ

デファクトスタンダードが使用しているICタグ(左)とICタグが取り付けられたバッグ

デファクトスタンダードではICタグを使うことで棚卸しという作業を根本から改善すること図った。実際、ICタグを使って棚卸し作業を実施したところ、2時間もかかっていた作業が40分で済むようになったという。

ICタグを取り付けた商品の情報をテーブルスキャナー(写真下の白い台)で読み込む。

ICタグを取り付けた商品の情報をテーブルスキャナー(写真下の白い台)で読み込む。

また、ICタグ導入に際しては、余計な機能を省いた単純なICタグシステムを目指したという。「事業が急成長する中、今後の規模や変化は予測しにくい。そこで最小限の機能を実装するに留め、変化に合わせて拡張できるシステムの構築を考えた」(同)というのが理由だ。

ICタグ導入前と導入後の棚卸し作業の比較

ICタグ導入前と導入後の棚卸し作業の比較

ただ、ICタグは倉庫に保管するすべての商品に付けているわけではない。まず高級バッグやアクセサリーなどの一部の商品に限り導入した。背景には「全商品を対象にICタグを一括導入すると現場が混乱しかねない。当社では、倉庫内での出荷や棚卸しなどの業務にアルバイトが多くかかわっている。全従業員がミスすることなく、業務が滞らないよう配慮した結果、スモールスタートが適していると判断した」(同)ことがある。

また、システム変更で現場の負担がかえって増えるというケースは少なくない。そこで、ICタグの導入では「システム変更による影響を洗い出すとともに、現場の声をヒアリングするなどして、“現場主導”でシステムを刷新することを最優先に考慮した」(同)という。

具体的なシステムの構築では、ICタグを読み取るテーブルスキャナを制御するアプリケーションは外部に依頼して開発。取得したタグ情報を基幹システムと連携させる仕組みは自社で開発した。

デファクトスタンダードでは基幹システムなどは自前で開発している。それには理由がある。

「当社の場合、基幹システムをはじめ、業務に必要な各種システムを自社で開発している。商品の自動出品や売上、在庫などが密接に連携するという業務の特性上、(ソフトウェア会社などの)パッケージによる基幹システムでは必要な機能を実装しにくい。そのため、自社固有の業務になじみ、必要な機能を追加しやすい自社開発システムが妥当と考えている」。間谷プランナーはこう説明する。

こうした考えのため、ICタグ導入に踏み切る際にも、ソフトウェア会社などのパッケージソフトの利用を検討することもなかったという。「ブランド品の買い取り・販売という当社事業の競争力を高める源泉としてシステムを位置付けている。だから事業に適切に沿うシステムを構築することが競合他社との差異化につながる」と、間谷プランナーは強調する。

全商品のICタグ導入を計画、棚卸し以外の活用も見込む

今後はICタグで管理する商品の対象を徐々に広げていく予定だ。高額なバッグやアクセサリーだけではなく、単価の安いアパレルなどを含めたすべての商品にICタグを付けていく。買い取り商品だけではなく、査定中のブランド品にもICタグを付けて管理することも検討している。

同時に「現場の使い勝手などを聞き、改善すべき点を修正していく。PDCAサイクルを回すことで現場の声を次期システムに活かす取り組みも欠かせないと思っている」と間谷プランナーは言う。

また、棚卸し業務以外の活用法も検討する。「ICタグを使ってリアルタイムに在庫を把握できるようになれば、直近の売れ筋や不足している商品カテゴリなどを容易に洗い出せる。そこから人気商品を全面に打ち出したセールや特定商品の買い取りを強化するキャンペーン施策などに生かせればと思っている」(間谷プランナー)という。

急成長する同社では、数年先の事業規模すら予見しにくい。こうした状況下で事業を中長期的に支えるシステム像を描くのは難しいといえる。こうした背景から、デファクトスタンダードではスモールスタートを実践し、事業への適合性を見極めた上で適用領域を拡大していく施策を行っている。同社が業界内で先行事例の少ないシステムでも積極的に導入できる理由がここにある。こうしたチャレンジする姿勢こそが、他社をしのぐ競争力の源泉になっているのかもしれない。

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