【第2回AI・人工知能EXPO】進化やまないAIサービスの最前線を突撃レポート!!

2018/4/9

 

まさに熱狂といった言葉が相応しく、大盛況で幕を閉じた第1回目から約一年。「第2回AI・人工知能EXPO」が、2018年4月4日(水)〜4月6日(金)の3日間、東京ビッグサイト第3ホールで開催された。今年は規模を3倍に拡大。ブースは所狭しと軒を連ね、ベンチャー〜大手のサービスでひしめき合っていた。広く開放された通路もオープン時には若干歩きやすく感じたものの、いつの間にか往来が難しくなるほど混雑。第3次ブーム到来といわれてから数年が経つが、未だ陰りを見せぬAIへの熱気を感じた。

情シス NAVIでは、初日の様子とともに、独自の目線でピックアップした魅力的なサービスを紹介する。

  

導入整備すすむ。AI普及に火がつくのは間もなくか?

さっそく場内を一巡し感じたのは、大手企業の出展の多さだった。通信系、IT系、SI系の大手企業が数々出展している。

多数のブースが行うレクチャーも印象的だ。それぞれに扱う製品は異なるものの、「なぜAIが必要か?」または「どう使うか?」という前段からはじまったものが少なくない。裏を返せば、まだ本格的な活用はあと一歩ということだろうか。そこで、来場者や出展者にいくつかヒアリングをしてみたが、確かに「様子見」や「活用しきれなかった顧客もいると聞く」との回答も。AI普及には、もう少し時間が必要なのかもしれない。

だが、出展ラインアップの幅広さにはあらためて圧倒される。大手では、NTTグループが40年以上にわたる人工知能関連技術の研究蓄積などを生かし包括的なソリューションを提供する「corevo」を、セールスフォース・ドットコムがCRMのためのAI「Salesforce Einstein」を出展。AIベンチャーでは、GRIDが深層学習・深層強化学習などをライブラリに備えたAI開発プラットフォーム「Renom」を、ABEJAが最速・最短でディープラーニングを中心としたAIを実装できる「ABEJA Platform」を。さらに、少量の学習データから自然言語解析が可能な人工知能「KIBIT」で知られるFRONTEOは、知財、法務・コンプライアンス、人事、カスタマーセンター、情報セキュリティなどのソリューションを提供するKIBITシリーズを出展していた。

加えて、UEIやMorphoといったディープラーニングのプロフェッショナルによるサービスや、さまざまな企業によるパーソナルAI、チャットボット、ロボット、ドローン、IoTなど・・・、総勢300社のAIがあらゆるサービスを網羅。AIの浸透スピードは、まさに驚異的だ。

パーソナルAI、チャットボットの人気続く! 

多くの来場者が立ち止まっていたのが、パーソナルAIだった。美少女をキャラクターにしたものは、やはりインパクトがあって面白い。もしかすると今後、人気キャラクターとのコラボなどもあり得るのだろうか。

ティファナ・ドットコムの「AI さくらさん」は、銀行、鉄道、空港、ショッピングモールなどさまざまな業界に導入実績を持つパーソナル美少女AI。言葉は日英中韓4ヶ国語に対応していて、インバウンドの案内もこなすという。

AI戦略室・遠藤友美氏は、「カメラやセンサーなどとの連携もフレキシブルに行えるのもさくらさんの強みですね」と話す。すでに、IoT事例もあるそうで、さらなるニーズの拡大が予見される。

チャットボットでは、モビルスのチャットツール「mobi Agent」が目を引いた。

顧客インターフェースは自社サイトもとより、LINE、FB、Messenger、ロボットや各種センサーに対応と設計自在。24時間365日の自動応答、適宜有人でのハイブリットも可能。各チャネルからの問い合わせ、メッセージ、コメントは一元管理できるので、社内の対応チームを分散させる必要がない。さらに、LINE Customer ConnectやAmazon Connectなどのコンタクトセンターシステム、ワトソンなどの人工知能、OKBIZなどのFAQシステム、sales cloudなどのCRMとの連携も可能であり、顧客が求める環境に柔軟に対応するという。

広報・マーケティングディレクター甲賀健氏は、「価格帯などで手軽さをPRするのではなく、業態を問わずしっかりと安定した運用を行えるサービスをめざし開発しました。現在、音声自動応答システムやLINEtoCallとの連携によるチャット×通話(有人)のフレキシブルな応答ツールの開発も進めています」と話す。

産業現場に向けたAIソリューションの胎動

パーソナルAI、チャットボットとともに多くの来場者が足を止めていたのが、産業現場向けAIだ。

「予兆・診断システム」、「品質・機械故障予測システム」、「生産ラインの検品・仕分け支援システム」など、ブースごとにさまざまなシステムがある。

なかでも、富士ソフトはSIの特性を生かし、AIのあらゆる顧客課題に応えるワンストップ・ソリューションを提案。先のディープラーニングを活用した検品・仕分け支援システムほか、ロボットあり、AIスピーカー用小型モジュールあり、AIコンサルありと、とても充実していた。

また、現場という意味では、農業×ITを掲げたオプティムのAIラインアップも興味深い。スマホやドローンで撮影した画像を解析し作物の育成状況や病害検知を行うサービスや、ハウス内のセンサーとスマホの連続画像からトマトの個数検知・熟度判定、出荷時期判断まで行うサービスなど、高齢化や人手不足の改善に寄与しつつ、次世代の農業の魅力を感じさせるものだった。

ユニークなAIサービスや、人材育成サービスもぞくぞく!

2016年にLINEやFBのAPI公開もあり、前回のAI・人工知能EXPOではチャットボットが占める割合が多かったという。そこから考えれば、今がちょうどビジネスAIの萌芽期といえるのかもしれない。事実、ユニークなサービスも数々登場している。

一例を挙げても、“誰でも簡単に機械学習”をテーマにしたクラウドAIプラットフォーム「ナレコムAI(Knowledge Communication)」。オフィスの入退室やオートロックなどに使える顔認証入退室管理システム「SenseGuard(センスタイムジャパン)」。同義語・用語集の生成・更新を自動化する「同義語辞書・用語集作成システム(SCREEN)」。ビジネスチャットInCircle上のテキストを解析し離職傾向にある人材を知らせる「離職防止ソリューション(アウトソーシングテクノロジー)」。AI要否の検証や導入に向けた大規模なデータ加工、ニュートラルネットワークモデルの開発・実験など幅広いコンサルを行う「未来予測 サキヨミAIラボ(ケイフィールド)」など、カテゴリもターゲットも多彩だ。

また、AI人材育成サービスも目立っていた。

キカガクは、機械学習やディープラーニングの技術・ビジネス両面に精通できる人材の育成セミナーを行っている。6ヶ月間のカリキュラムが組まれた長期セミナーでは、習得知識を実感レベルまで引き上げ、さらに実務に落とし込めるエコシステムを構築。知識のインプットとアウトプットをサイクル化し、実案件を成功に導く人材を育成する。また、「人工知能・機械学習脱ブラックボックスセミナー」、「ディープラーニングハンズオンセミナー」といった2〜3日間の短期セミナーあり、ピンポイントの受講にも対応している。同社の代表取締役社長・吉崎介氏は、日本マイクロソフト・Preferred Networks両社公認のAI人材育成トレーナーでもあり、二社主催のAIビジネスコミュニティ「DEEP LARNING LAB」で講師を務める。

システムシェアードはJava研修で多くの実績を築いてきた「東京ITスクール」で知られるが、4月より「AI技術者養成コース」を開設。約500社の実績を持つ新人Java研修で培ったノウハウをAI人材育成に投下し、未来の人材を育てていく。

さらに、日本ディープラーニング協会の取り組みも興味深い。日本トップクラスのAI研究者・松尾豊(東京大学大学院准教授)が理事長を務める同協会では、「ディープラーニング検定」を実施。「ジェネラリスト向け/エンジニア向け」があり、第1回ジェネラリスト向け検定では1,500名の申し込みがあり、823名の合格者が誕生したという。

サイクルの早いAI業界を俯瞰すれば、こういった人材育成や資格検定の重要度は今後より高まっていくことだろう。

気になるAI研究動向はいかに?

AIに限らず、普段さまざまな技術分野において、研究機関や大学の研究に触れられる機会はあまりない。だが、未知数の高いAIゆえ、どんな研究が行われているか興味を持つ人も多いことだろう。そこで、出展されていたAI研究を紹介し、レポートを結ぶことにしよう。

理化学研究所は、世界最先端の人材が集い、人工知能・ビッグデータ・IoT・サイバーセキュリティを統合した研究開発を行う文科省「AIPプロジェクト」の研究拠点「革新知能統合センター」での研究内容、4月21日に開催する「理化学研究所 和光地区一般公開」を紹介していた。和光地区イベントでは、人間の脳の空間認識能力を司る「海馬」について、従来のコンピュータでは困難な計算を行える「量子コンピュータ」についてなどAI関連の講演も開催される。

電気通信大学は、AIが画像から「作詞」を行う研究を紹介。一人ひとり異なり、解のない人の感情にフィットするAIの研究だという。展示では、山の写真からAIが作詞した歌詞が紹介されていたが、すでに人の作詞と同等レベルだと感じた。「認識させる画像によって精度はかなり異なる」そうだが、いずれAIはストーリーも紡ぐようになるのだろうか。

公立はこだて未来大学は以前から、「マリンIT」というユニークかつ未来の漁業を支える研究で知られる。展示は、北海道大学・室蘭工業大学、日立製作所と共同で進めている研究で、ひとつは「AIによる漁獲量予測」。ニュートラルネットワークが過去の漁獲データや環境データを分析し漁獲量の予測を行う。精度向上が課題だというが、実現すれば経験や感に頼らない漁が可能になる。もうひとつは、「AIによる魚種判定」。ニュートラルネットワークが、魚群探知機の音響をリアルタイムに分析し、今海中にはどんな魚がどのくらいいるか? を知らせる。インターフェースにスマートウォッチを使用しているのもとてもユニークだ。実験では95%の精度で1魚種を判別したという。漁師の腕にはスマートウォッチがきらりと光り、獲りたい魚を獲る。そんな時代がやってくるかもしれない。

以上、駆け足での紹介となったが、あらゆるビジネス分野、人材育成、そして学問のAIにも触れることができた第2回AI・人工知能EXPO。ここからまた1年を経たとき、果たしてどんなサービスや研究が登場するのか想像もつかないが、よりビジネスにフィットし、かつAIの未来を感じさせるものであることは間違いないだろう。早くも第3回が待ち遠しい。

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