【Japan Drone 2016レポート】春原久徳 セキュアドローン協議会会長インタビュー(前編)「ドローンが日本の農業を変えていく」

  • 2016/4/5
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2016/04/05

2015年12月に施行された改正航空法は、これまで曖昧だったドローンの運用責任についてルールが明確化されたこともあり、企業のドローン活用を後押しすると見られています。実際、「今年はビジネスドローン元年」という声が、今回の展示会会場のあちらこちらから聞かれました。

そこで、ドローンの商用利用のコンサルティングを手がけ、去年、ドローンのICT・IoT(モノのインターネット)活用を促進するセキュアドローン協議会、そしてドローンのサービスとソリューションコンサルティングを行うドローン・ジャパン株式会社を相次いで立ち上げた春原久徳氏にお話を伺いました。

春原久徳・セキュアドローン協議会会長

春原久徳(すのはら・ひさのり)・セキュアドローン協議会会長、ドローン・ジャパン株式会社会長

三井物産デジタル、マイクロソフトなどでPCの普及に貢献。2013年ごろからドローンビジネスに身を投じ、2015年にセキュアドローン協議会会長に就任。また、ドローン・ジャパン株式会社を2015年12月に設立し、代表取締役会長に就任。

―――セキュアドローン協議会を立ち上げたきっかけをお聞かせください。

「去年、アマゾン・ドットコムのドローンによる宅配サービス実験が話題になったように、海外ではドローンの産業利用への取り組みがすでに始まっていますが、日本では業務用といえばテレビ局が空撮に使っている程度で、一部を除き、親和性の高いはずのIT業界が積極的に取り組んでいる例はありませんでした。しかし、昨年ぐらいからIoTも注目を集め始め、まさにIoT機器となりうるドローンの活用も考えられるようになりました。そこで、IT企業が中心となり、ドローンの安心・安全な操作環境とセキュアな業務活用に向けて設立したのがセキュアドローン協議会です。」

―――なぜ、セキュアドローン協議会と名付けたのですか?

 

「改正航空法の施行に象徴されるように、ドローンは実際に屋外を飛行するものであり、安全性は最重要なテーマと考えています。特に、IoT機器としてドローンを考えると、物理的な安全はもちろんのこと、クラウド連携など、ネットワークとも接続されるわけですから、セキュリティリスクも生じます。そこで、先程も申したとおり、『安心・安全』を担保するために、セキュリティを最優先に考えよう、ということで名前に『セキュア』を入れました。もちろん、それだけではなく、参加社各社が持つ、先端ドローン技術、IoTクラウド/組み込みソフトウェア関連技術、そして、エネルギー管理システムなどといったICT関連のノウハウを活かした活動を行っていきます。」

この記事の目次

ドローンが「精密農業」で農業を変える

―――いま取り組まれていることはどのようなことですか?

「いま積極的に取り組んでいるのは『精密農業』です。実は海外の調査ではドローンの業務用途として、空撮に次いで、第2位には、この精密農業が入っているのです。ご存知の通り、日本の農業従事者は高齢化が進み、現在平均年齢が65歳になっています。実際、高齢化による離農で、農家1戸あたりの耕地面積が増えつつありますが、日本の農業は大規模化に対応しきれておらず、負担が課題となっていました。一方で、世界から食料需要を見ると、途上国の需要増は続き、近い将来、世界での食料自給率は大幅に減少するといわれています。つまり足りなくなるわけです。したがって、農業の効率化を図り、収量と品質を高めれば日本の農産物は立派な輸出産業になります。」

―――ドローンと農業はどうつながるのでしょうか?

「日本の土地は肥沃で、非常に品質の高い農産物が収穫できます。しかし、生産者によって、収量や品質の差が大きいのも事実です。つまり非常に経験則に頼っているのが日本の農業の現実なのです。今、セキュアドローン協議会では、北海道旭川のJAたいせつと共同で稲作の現場にドローンを活用した実証実験を行っています。具体的には、優秀な生産者の経験則をデータ化し、誰でも品質の高い稲作ができるようになるためのデータの蓄積を行なっています。優秀な生産者が感覚的に集めている、微妙な気温の変化や、稲の生育具合で変化する葉の色などといった情報を、ドローンが広い耕地を自動飛行で飛び回って週に数回、一定時間に観測し、それをクラウドに蓄積する。そして生産者がどのようなことを行なったかも一緒に記録することで、施肥や農薬散布などの判断を自動化することを目指しています。これが『精密農業』です。このデータ蓄積には時間がかかるので、生産する人たちが元気な今がラストチャンスと考えています。」

春原さんの話からは、より大規模化が進むと考えられる日本の農業で、生産の省力化、生産物の高品質化、収量の増量のために求められる「精密農業」にドローンは欠かせないものということが伝わってきました。

後編では、ドローン開発を促進する取り組み、「ドローンコード ジャパン」について語ってもらいました。

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