【情シス奮闘記】第17回 自社のIT部門をゼロから支えてきた情シス兼エンジニアの歩み フュービック

「スポーツ×IT×ヘルスケア」をテーマにしたさまざまな事業展開で知られる、フュービック。この多角経営の基盤を支えているのがITである。実店舗サービスやスポーツ系事業の企業にはめずらしく、積極的にITを活用したソリューションを開発・提供している。今回は、その引率約として同社がITを本格的に事業戦略に据えるきっかけにもなった立役者と部門のこれからを担う期待の新人のお二人にじっくりと聞いた。

 

フュービックの事業展開は幅広く、リラクゼーションサロン『もみ処らく屋』や岩盤ヨガスタジオ『ゼロヨガ』、ストレッチ専門店『ドクターストレッチ』などのフィットネス・リラクゼーションサービスをはじめ、国内最大級テニス専門ポータルサイト『tennis365.net』やスペインサッカー専門ニュースサイト『SPORT.es』の運用、また奄美大島ではリゾートホテル『THE SCENE』の運営なども手がけている。

そして、実店舗サービスやスポーツ系事業を行う企業としてはめずらしいが、積極的にITを活用したソリューションを開発・提供している。

同社のITを引率してきたのが、今回お話を聞いた情シス兼エンジニアの山口裕美氏だ。IT部門を牽引することになったストーリーや自身が携わってきたソリューション、また業務環境の特徴について詳しく伺った。

 

(取材・文:坂本 嶺)

 


セラピストから情シス兼エンジニアへ。自社初のアプリを一手に手がける

まず、ユニークなのが山口氏のキャリアだ。新卒で金融系システムベンダーに入社し、バックエンドを担当。その後、サービス業に転身。フュービックに入社したのは、セラピスト志望だったという。入社から約6年間セラピストとして働き、店舗のエリアマネージャーを務めるまでになった。

そこからIT部門の主要メンバーとして働くようになったのは、今から遡ること約3年前。同社初のアプリサービスとして2017年3月にリリースしたトレーナー派遣アプリ「セレクトコーチ」の開発プロジェクトがきっかけだった。

当時、同社は店舗拡大に注力しており、社内の開発環境は未整備。それゆえ、外注に開発を任せていたが、なかなか満足いくものができず、プロジェクトは一旦ペンディングとなる。そこから、IT部門を内製しようという動きが活性化し、エンジニアキャリアを持つ山口氏に白羽の矢が立ったという。

<クリエイティブディビジョン エンジニアチーム マネージャー 山口裕美氏>

「プロジェクトは1年ぐらい動いていませんでした。それで、プロジェクトマネージャーから相談を受けたんです。突然のことでしたし、前々職からもだいぶ時間が空いていたので、最初は少し戸惑いました。でも、いざ担当してみると、とてもおもしろいんですよね。たぶんセラピストとして現場で働いていた経験が役に立ったと思うのですが、システムからではなく、お客さまのことを具体的に思い浮かべサービス面から考えていく。前々職はバックエンドエンジニアだったのでとても新鮮で、やりがいを感じました。」(山口氏)

社内にノウハウがないなか、山口氏は開発の大部分を担当した。課題にぶつかったときは、エンジニア時代のツテを頼りながら一つひとつクリアしていったそうだ。そうして、「セレクトコーチ」は無事リリースにこぎつける。その成功体験から、山口氏は社長の黒川将大氏に直談判。情シス兼エンジニアとなった。

 

部門を超えて業務にあたれ、個々がやりがいを見いだせる環境がある

山口氏が情シス兼エンジニアとなったことで、IT部門も正式に立ち上がり、さらに急速に発展も見せていった。「セレクトコーチ」のリリースから1年半が経過した現在、メンバーは7名。また、オフシェア開発も実施しており、海外に12名の海外エンジニアがいる。

しかし、一般的に、スケールアップすれば当初の自由な環境とは縁遠くなるもの。手探りのなかで開発にあたっていた当時、日に日にメンバーが増え組織化していく現在を比較して変化はあったのだろうか? そんな疑問に山口氏はこう話してくれた。

「もちろん変わったことはありますが、大きな変化はないですね。“自由”というのは、当社の特徴だと思います。エンジニアにしても情シスにしても、業務に垣根がないんです。開発もしますし、PC設定もします。あと、私はマネージャーの育成なども担当しています。よい意味で部門の区切りがないので、率先して自分から行動できる。それがモチベーションになっています。」(山口氏)

 

では、若手の意見はどうだろうか? 加藤氏はECシステムベンダーでITスキルを磨き、およそ1年前にフュービックへ入社した。


<クリエイティブディビジョン エンジニアチーム 加藤翼氏>

「フロントエンドのスキルもバックエンドもスキルも区別なく求められるので、やるべきことは多いですね。ただ、先ほど山口がお話ししたように、その分自分たちで考えられるのでやりがいがあります。また、現在進行形でIT部門は成長中。これからを見据え、ITノウハウを蓄積している最中なのですが、そこに熱気がありワクワク感もあります。」(加藤氏)

 

フュービックのIT部門として、より大きく羽ばたく

現在、山口氏は要件定義など上流工程を担当しており、企画から携わったアプリに、社内通貨アプリ「FRICA(フリカ)」がある。

事業拡大に伴い、希薄になりがちだった社内コミュニケーションの改善を目的に開発したもので、「レター」とよばれるメッセージ機能などに加え、ユーザー間でポイントを送り合い貯まれば景品と交換できる「ポイント機能」も搭載。新たなコミュニケーションスタイルを生み出す、ユニークなアプリだ。最初の構想はシンプルな社内SNSだったそうだが、“使われるもの”をめざしたそうで、各店舗スタッフにも人気だという。

また、顧客向けアプリについても、現在複数の開発に取り組んでいるそうだ。IT部門の立ち上がりが最近であることを考えれば、このスピード感はとても早い。加藤氏によれば、「アジャイルよりも手前の段階で、ビジネスアイデアをスピーディに形にして、検証して修正していく」体制だという。

 

「それは、最小人数で開発にあたっているがゆえ」との前置きもあったが、部門を横断して行動できる環境がこういった開発スタイルを可能にしているのかもしれない。

 

今後、めざしたいこと

インタビューの最後に、今後の目標をそれぞれに聞いた。

「今まではお客さまの満足度の向上が目的でしたが、利益計上できるアプリを開発していきたいですね。しっかりとマネタイズできるものです。自分たちのお給料は自分で稼ぐみたいなイメージでしょうか(笑)。そうなれば、今よりももっといろいろなことにチャレンジしていけるので、よいなと。3年以内の実現をめざしています。」(山口氏)

 

「当社のテニス専門サイト『tennis365.net』のなかでさまざまなサービスをつくっていければと思っています。実は私はテニスが趣味で、tennis365.netの担当は、入社のきっかけでもあるんです。そのために日々の業務はもちろん、これからも貪欲にスキルを高めていきたいです。」(加藤氏)

 

 

 

今回のポイント
①IT部門の内製
②既存の部門のイメージに捉われず行動できる
③IT部門自らがサービス提供をめざす

 

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