【情シス豆知識】”その舵取りは誰がする!?” ITとOTの関係性

IoT時代はITとOTの融合の時代だといわれています。双方はこれまで関係を持たず別々の役目を持っていましたが、次世代ではひとつとなり、ビジネスを支えていくようになるのです。しかし、現状ではそこに至るための大きな壁があります。そこで今回はOTの概要やITとの融合に向け必要なことを紹介していきます!

【おさらい】IoT時代を築くITとOT

ようやく日本版インダストリ4.0の名称が「Connected Industries(コネクテッド・インダストリーズ)」に定まり、日本も第四次産業革命、IoT時代の大きなうねりのなかへ本格的に突入しようとしています。2018年6月からIoT税制(記事:IoT税制参照)もスタートし、ますます気炎をあげて進んでいくことでしょう。

【課題】意識改革を求められるOTセキュリティ

しかし、制御システムのネットワーク化は、OTが従来考慮しなくてもよかった懸念を招きました。それが「OTセキュリティ」です。

ネットワーク化すれば、当然セキュリティリスクもITのように高まります。制御システムのセキュリティ被害で広く知られるのが、2010年にイランの核施設の制御システムを狙ったマルウェア「Stuxnet」。これは非ネットワーク環境の制御システムがUSBメモリにより感染した事例ですが、裏を返せば、攻撃者はUSBメモリのみしか攻撃の手段がなかったということ。しかし、ネットワーク化した制御システムでは、情報システムが制御システムを感染させる“玄関”として攻撃者に開け放たれてしまうのです。事実、2017年に登場したランサムウェア 「WannaCry」やマルウェア「NotPetya」により、生産システムの稼働に支障をきたした企業もあるといいます。IT×OTに求められるセキュリティ環境の構築、これは喫緊の課題です。

 

【融合に向けて】IT×OTを実現させるのは、情シス?

では、誰がどのようにしてセキュリティ対策を行うか? これはOT部門だけで賄える事案ではありません。OT人材は担当する設備の専門的スキルを求められるものの、ITスキルは必ずしも必要ではないからです。そこにきて、あらたにセキュリティを担当する。これは現実的ではありません。

そこで期待されているのが、情シスの存在です。ネットワーク化した制御システムの運用には、組み込みソフトのライセンスやバージョン管理、パッチ適用などが必要になりますが、これらは情シスおなじみの領域。身につけた「守りのIT」を遺憾無く発揮し、制御システムを守っていく。それがIT×OTを普及させる第一歩となっていくことでしょう。

【しかし】まるで水と油?

ネットワーク化した制御システムの運用をOT人材が、セキュリティを情シスが担当する。そのためには、IT部門とOT部門を超えた連携が欠かせません。

しかし、IT人材は“遊牧民”、OT人材は“農耕民”とたとえられるほど、価値観が違います。業務プロセスを支えるITは時代の変化に対応する「スピードや柔軟性」が求められる一方、OTは設備の長期安定運用のための「質」が求められるからです。
*参考:ASCII.jp『ITとOTの人の相性が悪いのは言葉と価値観の違いが原因

また、そもそも「セキュリティレイヤーの優先度」についても大きく異なります。ITでは「機密性」>「完全性」>「可用性」に対し、OTはその逆。「可用性」>「完全性」>「機密性」です。OTセキュリティは、十年単位の設備稼働を想定した仕様もめずらしくなく「設備を止めない」ことを最優先としています。

【実現に必要なこと】経営陣のトップダウンによる環境創生

先の関係性の通り、別々の道を歩んできたIT人材とOT人材。制御システムをネットワーク化するから、あらたなセキュリティが必要だからといっても、ふたつの部門が協力しあい、自然にまとまるとは考えられません。

しかし、IT×OTのメリットをあげれば・・・、

・「IT×OTのデータ連携によるKPIの作成とその活用による全体最適」
・「KPIのリアルタイム確認による、ビジネス環境変化に対するスピーディな判断・対応」

上記に加え、「ITとOTのプラットフォーム共通化による効率化とコスト削減」など、製造業に大きな恩恵をもたらすのは明らかです。

だからこそ、経営陣がビジネス課題を解決する有望な手段として意識し、IT×OT計画を策定。両部門が連携できるビジョンを明確化して、トップダウンで改革を進めていくことが必要です。

IT×OTが先行する海外では、あらたな部門結成のためにビジネスアナリストを活用したり、IT人材とOT人材が共通認識として脅威を実感できる疑似体験を企画するなど、さまざまな試行錯誤が行われているといいます。ここから、その実現には一筋縄でいかないことがうかがえますが、これらの取り組みはIoT時代のビジネスに必須であるがゆえ。IT×OTは、チャレンジではなく、マストなのです。

 

【執筆:編集Gp 坂本 嶺】

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