AI Vol:05「AIは、私たちの仕事を奪うのか?」

2018/07/04

便利でも脅威でもあることを、もろ刃の剣といいます

普段はなかなか考えないことですが、あらためて「生活」とは一体なんでしょうか?

私たちの“生きる”ための行動だとすれば、まず候補に挙がるのは「仕事」? では、「仕事=生活」なのかというと・・・、少し違和感がある気もします。でも、「生活から切り離せないのが仕事」とすれば、誰もが納得するはず。しかし、その仕事は近い将来、AIによって激変・激減するといわれているのです。

「FinTech」がめざましい進化を遂げている金融業界では、大規模なリストラや新卒採用を見送るなど、既にその影を落としているとも言えます。

世界中の人々が未来への希望を持ち研究開発を進めるAI。それが、人間にとって “もろ刃の剣”になり得るかもしれない。今回はそんなお話です。

 

最近は、ワタシたちも人間の仕事を少しずつできるようになりました

AIの存在にえも言われぬインパクトを受けたのは、きっと2014年のことだと思います。そう、『雇用の未来』。オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授とカールベネディクト・フライ博士の共同執筆による論文です。

このなかに書かれていたのが、「AIやロボットにより消滅する仕事のリスト」。つまり、コンピュータにより奪われる職業でした。702種のリストには“人の仕事では無くなる確率”も詳細に記載されていて、90%の高確率だけを見ても、「銀行の融資担当」「スポーツの審判」「保険の審査担当」「テレアポ」「レジ係」「ホテルの受付」「データ入力」「クレーム処理担当」「測量」「塗装工」「造園職人」など、ホワイト/ブルーカラー問わずさまざまな職業が挙げられています。

この、『雇用の未来』から4年。今の世の中を見てみるとどうでしょうか? 確かに、普段行くスーパーで自動レジをよく見かけるようになり、個人融資の信用情報を自動で判定する「AIスコア・レンディング」もスタートしている。海外では、アマゾン が無人コンビニをオープンさせ、ウーバーは着々と自動運転の実現を推進中。このように、たった4年のうちに、コンピュータによる仕事の代替は加速度的に進んでいます。

オズボーン准教授は「今後10〜20年の間に、アメリカの総雇用者の約47%の仕事が自動化されるリスクが高い」、ニューヨーク市立大学のキャッシー・デビッドソン教授は「2011年度の小学高に入学した子どもたちの65%は、大学卒業時に今は存在していない職業に就くだろう」と予測しています。

また、日本に限定した「代替される仕事予測」もすでに発表されています。野村総研は、オズボーン准教授とフライ博士の共同研究により「今後10〜20年で、日本の労働人口の約49%が、AIなどの技術で代替可能になる」としています。

参考:
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/wg/koyou/dai4/siryou2.pdf

https://www.nri.com/jp/news/2015/151202_1.aspx

 

これらの予測、上記した近年の仕事の変化を見れば、AIを筆頭にしたテクノロジーによる代替は、これからさらに進んでいくでしょう。

 

これから、もっとたくさんの仕事をこなせるようになると思います

「総雇用者の約47%の仕事が自動化」、「労働人口の約49%の仕事が代替可能」と聞けば、危機感を覚える人も多いと思います。果たしてAIは仕事を“奪う”のか? もっといえば、奪われること、それは私たちの脅威となり得るのでしょうか。

テクノロジーにより人の仕事がなくなった歴史はこれまでにもあります。例えば産業革命。蒸気機関車の登場での馬車や馬を操る仕事や、綿織物の生産過程の自動化による手仕事。そこから現代に至るまでも、蒸気機関車の燃料を補充する「かま焚き」、電話回線を接続する「交換手」、さらに映画のセリフなどをリアルタイムで代弁する「活弁士」など。これらはみな、技術革新によりなくなっていった仕事です。失業を余儀なくされた人もいたことでしょう。

しかし、その一方で、技術革新はその都度あたらしい仕事を生み出していったのも事実です。ここから考えれば、栄枯盛衰のように、自動化により仕事はなくなり、またつくられるともいえます。

そう考えると、仕事の自動化と消滅は、社会の摂理なのかもしれません。

 

でも、やっぱりむずかしい仕事もあります

ただ、来たるべき未来はどうでしょうか?

自動化が加速度的に進む現状、仕事が代替される数を見ればわかるように、徐々にではなく、早期にさまざまな仕事が人間のものではなくなる可能性もあります。それを考えれば、やはり楽観視はできません。

しかし、希望はあります。プレジデント・オンライン掲載の「10年後に『機械の奴隷』となる職業は何か」と題されたインタビューで、産総研 人工知能研究センター 研究センター長の「辻井潤一氏」とK.I.T虎ノ門大学「三谷宏治氏」はこう話しています。

・三谷氏

これから10年で、仕事がAIやロボットに置き換えられます。それと同時に新しい仕事が登場する。ただし、どんな仕事が現れるかは不透明です。先が見えない中で、未来を担う子どもはどのような能力を身につければいいのか。おすすめは、身体性を伴う発想力やコミュニケーション能力です。

 

・辻井氏
全体を見て総合的な判断を下す力はAIには簡単に代替されません。物事を幅広く見る視野の広さや、離れたものを結びつける発想力、いわゆるゼネラリスト的能力です。

引用:http://president.jp/articles/-/23197

 

これらの能力は、テクノロジーを凌駕し続ける、人間特有の能力であり、かつそれらを活かせる職業は残っていくだろうとしています。

加えて、さらに興味深いのが、東大合格を目指すAI「東ロボくん」の開発者・新井紀子氏の発言。2017年開催の「TEDカンファレンス」のなかで、「仕事がAIなどに代替されるという予測は、転じて、既存の教育の問題を浮き彫りにするものだと考えている」、続けて「学習から“意味”を求めず、蓄えた情報だけでただひたすらに答えを解く学生の姿は、東ロボくんに似ている」と話しています。

参考:https://www.businessinsider.jp/post-104443

 

三谷氏、辻井氏、そして新井氏の言葉は、未来と対峙する私たちに求められる生き方への提言だといえます。そして、ここにこそAIの進展を脅威でなくす方法があるとも思えます。

仕事の自動化が進む現状をステップと捉えるか否か、その判断で未来は大きく変わることでしょう。私たちは今、その分岐点に立っています。

 

 

【執筆:編集Gp 坂本 嶺】

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