松田軽太の「一人情シスのすゝめ」#6:定期的な集計を爆速にする方法

松田軽太の「ひとり情シスのすゝめ」、タイトルだけ見るとひとり情シスを推奨しているように思われるかも知れませんが、思いはまったくの”逆”。様々な事情によりやむなく”ひとり情シス/ゼロ情シス”という状況になってしまっても頑張っていらっしゃる皆様のお役に立つような記事をお届けしたいと思っております。

皆さんも事務作業をしていると毎回、定期的に集計している作業ってあるのではないでしょうか。そこで、今回は「定期的な集計作業を簡単にできないか?」をテーマに便利な使い方をご紹介します。

大流行のRPAはまだ中小企業には普及していない

今までと仕事量は変わってないのに、昨今の働き方改革の名の下に「強制的な残業規制」で早く帰らなければならなくなったワケなので、それであれば、定型作業については自動化したいところです。

大企業であれば最近、大流行のRPAと呼ばれる事務処理自動化ソフトが導入され、アナタの代わりに定型的な事務処理を代行してくれます。

しかしながら、中小企業においてはまだまだRPAが普及していないのが実情ではないでしょうか。
RPAは無料ではないので、経営層が納得できるような費用対効果を算出するのはなかなか難しいところです。

とは言うものの…。
そんな風に手をこまねいていると、残業規制で会社を追い出された後にスタバやドトールやミスドに移動して持ち込んだノートパソコンを開いてせっせと仕事をするハメになってしまいます。しかも、残業代は一銭も貰えず、おまけにドリンク代は自腹で、その上、疲労が蓄積するという三重苦が待っています。

こんなことをしていては「働き方改革」どころか「働き方改悪」になってしまうのです。

こんな理由で”働き疲れてグッタリしているアナタ”に朗報です! 実はExcelの関数を活用すれば今よりも格段に効率よく定型的な集計作業を行うことができるのです。(脱Excelには反するのですが背に腹は代えられないと)

アナタの仕事の救世主!?Excelの「SUMIFS関数」を活用

実際、御社でも事務作業の多くでExcelが使われていることと思います。(便利ですもんねー)
そしてExcelには便利な関数と呼ばれる機能があります。 ところが多くの会社では、この便利な関数が活用されていません。 とある企業向けにExcel講習を行う会社の方から聞いたところによれば、多くの企業ではSUM関数程度しか使われていないのだとか。
実際、自分の業務を振り返ってもそんなもんですよね。 足し算、引き算、割り算、掛け算といったことを便利な電卓として利用しているのが実情なのではないでしょうか。

そもそもExcelって、会社支給のパソコンには当然のようにインストールされているので、無料みたいな感覚で使っていると思いますが、単体で購入すると1万5000円くらいの価値はあります。 今やOffice365などのサブスクリプションでのサービスに変わり、それも変わりつつあるのですが…。

しかしながら、電卓みたいな使い方しかしてないのでは、Excelが『もったいない』ですよね。 目の前に確実に仕事を楽チンにしてくれる道具があるのに、使っていないんですから。

言ってみれば、「部屋の中にルンバがあるのに、使い方が分からずに箒(ほうき)で掃除をしているようなもの」といった感じでしょうか。

なので、今回は定型的な集計をあっという間に終わらせてくれるルンバみたいな関数、SUMIFS(サムイフズ)をご紹介したいと思います。

SUMIFSで出来ること

きっと『SUMIFS関数なんて(目にしたことはあっても)使ったことはない』という人も多いでしょう。

SUMIFSとは、『SUM + IF + S』と3つの要素が組み合わさった関数です。

まず『SUM』ですがこれは足し算をするということです。 次の『IF』は英語の「もしも」と同じ意味なので「条件」を決めることです。 その次の『S』は英語の複数形のことで「複数の条件を設定できる」ということになります。

ここまでを読んだだけでは「なんでそれで定型的な集計が自動的にできるワケ?」と疑問に思われることでしょう。

SUMIFS関数には3つの使い方がある

SUMIFS関数には次の3つの使い方があります。

①基本型:条件を指定して集計する
  例)売上実績から商品別に売上数量を集計する

②集約型:指定した条件に合致しないデータを集約する
  例)主要な取引先以外は「その他」にまとめる

③マトリックス型:縦軸と横軸の2つの条件で集計する
  例)月初在庫・入庫・出荷から在庫推移を見る

これらを使って、集計を行います。 それでは実例を交えて説明します。

SUM関数とSUMIFS関数の違い

では、以下のサンプルデータを元に解説を行います。

足し算をするSUMと複数の条件で足し算できるSUMIFSを比較すると以下のようになります。

SUM関数は「Ctrl」を押しながら合計したいセルを選択するので面倒だし、選択するセルを間違える可能性も高くなります。一方、SUMIFS関数は一度、足し算する条件を設定して、すべての行に同じ関数をセットすれば集計できるので、間違えにくいのです。

SUMIFS関数の仕組み

上図のSUMIFS関数の引数について、詳しく見ていくことにします。

=SUMIFS($G$9:$G$27,$D$9:$D$27,I10)
 ①第一引数:合計したい数値の範囲 ⇒ $G$9:$G$27
 ②第二引数:集計の基準となる範囲 ⇒ $D$9:$D$27
 ③第三引数:合計したい条件 ⇒ I10

$マークの絶対参照を活用するのがポイントです!

一見、複雑に感じるかもしれませんが、慣れるとSUMIFS関数を使った方が簡単に集計ができます。(その“慣れる”がなかなかのハードルなのは存じておりますが)

①基本型の例

基本型は指定した条件に合致した場合に集計します。
例えば、取引先をAmazonに指定した場合は、Amazonだけの発注金額を瞬時に集計することができます。

②集約型の例

集約型は指定した条件の取引先以外を集約する集計方法です。
例えば、主要な取引先は個社ごとに集計し、それ以外の「その他」としてまとめて集計することができます。

この集計でのポイントはVLOOKUP関数を使って「取引先集約」という列の情報を用意している点です。

ではSUIMFS関数を集約型で動かした例を見てみましょう。
このように集計元データをコピペした瞬間に右側の取引先別の集計ができてしまいます。

③マトリックス型の例

マトリックス型とは「営業所別月別集計表」のような縦に営業所、横に売上月が並ぶような表のことを指しています。 クロス集計と呼ばれることもあります。

では、SUMIFSのマトリックス型が動いてるところを見てみましょう。
この例でも集計元のデータをコピペしただけで取引先別・月別に集計できてしまいます。

SUMIFSを使わずにこういった表を作るとなると、一旦、別のシートに集計してそれを集計表の実績部分に値を貼り付けすることになると思います。

実際のところ、売上実績表などのほとんどはマトリックス型のSUMIFS関数で集計できてしまうと思います。
是非、SUMIFS関数のマトリックス型集計のやり方を習得することをオススメします。

最初に覚えるべき関数はたったの6つ

ということで。今回はSUMIFS関数の使い方をご紹介しました。

このように関数を使えるようになると、驚くほど仕事を爆速で終わらせることができます。
ExcelにはSUIMIFS関数の他にも400種類以上の関数が用意されています。

しかし皆さんが日常的に使うべき関数はたったの6つです。

 IF関数                 ⇒ 条件によって値を変える
 VLOOKUP関数     ⇒ 商品名や単価を自動でセットしたい
 COUNTA関数     ⇒ 空白以外のセルの数を数える
 COUNTIFS関数    ⇒ 複数の条件でも数を数えられる
 SUM関数              ⇒ 今月の売上げを計算する
 SUMIFS関数        ⇒ 複数の集計条件があっても集計できる

まず手始めに、この6つの関数を使えるようになってみるのはいかがでしょうか?
こんなプチテクニックで働き方改悪から脱却し、正しい働き方改革となるよう願っております。

※本記事は松田軽太様許諾の元、「松田軽太のブロぐる」の記事をベースに再編集しております。


松田軽太(まつだ・けいた)

とある企業に勤務する現役情シス。会社の中では「何をしているのかナゾな職場」でもある情シス業務についてのTipsや基礎知識などを紹介する。

ブログ『松田軽太のブロぐる』を運営。

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