【日本ものづくりワールド2019レポート】ものづくりAI/IoT展

2019年2月6日(水)~8日(金)の3日間、東京ビッグサイトにて「日本ものづくりワールド 2019」が開催。日本ものづくりワールドは、製造業の「短期開発、生産性向上、品質向上、VA/VE、コストダウン」に寄与することを目的に開催しており、7つの展示会で構成されている。


<データ出展:日本ものづくりワールド 2019、HPより>

AI/IoTは情シスにおいても身近なキーワードとなっているが、この”ものづくりAI/IoT展”は、製造業に特化したAI/IoT活用の専門展は初開催であり、IoTプラットフォーム、AIソリューション、セキュリティ、通信機器など製造業向けIoT・AIソリューションが一堂に出展する専門展であり、製造業の情報システム、製造、生産技術、工場管理、設計、開発、経営部門のユーザーが対象となっている。情シスNavi.では今回は”ものづくりAI/IoT展”を中心にレポートする。

 

AIは熟練技師の”技能継承”、IoTは機器の”見える化”

会場にはAI及びIoTに関係する多くの企業が出展し、展示スペースのすべてが出展ブースで埋まっていたことが、このテーマについて注目度合いが高いことがうかがえる。展示会を通して、IoTでは工場内/設備の見える化、作業支援についてのソリューションが数多く紹介され、AIについては熟練技師の技能伝承についてのソリューションが印象的であった。

 

スマート聴診棒など”匠の技術をAI化する”、SKYDiSC

スカイディスクでは、熟練した技術者の操作データを解き明かし、匠の技をAI化するという。ブースでは、「製造業×AI」として、工場内のあらゆる工程の中で活用できるAIについて、事例や開発中のサービスを紹介していた。

紹介事例:射出成型機の製造条件最適化、燃料燃焼効率の最適化、音データを用いた官能検査

また、匠の技を具現化した”スマート聴診棒”の展示もあった。このスマート聴診棒は熟練の職人などの勘に頼っていた設備保全をAI化するサービスであり、スマートフォンアプリとして提供される。ハンディの振動計でデータを取得し、スマホで診断結果を見ることができる。将来的にトンネルや橋梁の打音検査など、耳が頼りだった業務の均質化/省人化が期待される。

Smart Ready IoTで「やってよかった」を導く、CONEXIO

コネクシオでは”Smart Ready IoT”と題し、導入のハードルを取り除くIoT実装サポートサービスとして、古い機械の見える化や品質・生産性改善といった製造業向けのソリューションなどの展示を行っていた。

経産省の調査結果では、IoTが一般化する2010年以前の機器では、機械情報を取得する概念もなく、7割(16万台)以上がつながらない古い機械であるという。

では、何かしらのセンサーやデバイスを接続し、機器情報を読み出せるようにすれば終わりかというとそうでもないようである。同社によれば、IoTの導入にはI様々な“ハードル”が存在するという。例えば、社内にIoTシステム全般を把握する専門的な技術者がいない、IoTへの投資対効果がわからず予算が取りにくい、といった事が挙げられる。また、そもそも「IoT化すると良さそうであるが、なにをどのようにすればよいのかわからない」という”漠然とした課題感”を持っている企業様も多数あるという。Smart Ready IoTは、「IoTの実装」、「IoTの導入支援」で企業のIoT導入を実現し、様々な規格や仕様、プロトコルが存在するIoTにおいて、企業の「試してみたい」をサポートできるという。

 

遠隔作業支援クラウドサービス「IDEye」、インフォメーション・ディベロプメント

先日開催されたウェアラブルEXPOでもスマートグラスを活用したソリューションの展示があったが、インフォメーション・ディベロプメントでは、作業支援システムの展示を行っていた。スマートグラスを掛けた作業者の視界を、遠く離れた監督者がPCで共有し、監督者が作業者の作業を支援するものである。スマートグラスはEPSON製他既存製品を利用し、同社はクラウドサービスとして本システムを提供する。

ユニークだったのは作業者のログインの方法である。現場の作業者がスマートフォンを操作してログインする必要がないように、あらかじめ生成したQRコードをスマートグラスで読み取るだけでログインが完了する。作業指示書などにこのQRコードを印刷しておけば、接続が簡単に行えるので、現場では大いに役に立つであろう。

<データ出展:IDEye、HPより>

 

sakura.ioでIoTプラットフォームを提供する、さくらインターネット

さくらインターネットでは本業であるデータセンターと組み合わせたIoTプラットフォーム「sakura.io」を紹介していた。このsakura.ioはデータを送受信するための通信モジュール、通信環境、データの保存や連携処理に必要なシステムを一体で提供し、閉域網のセキュア回線を月額60円から利用できるという。

パートナーも多く存在し、また体験ハンズオンイベントも頻繁に行っており、企業の「こんなことしたい」を具現化する環境も整っている。

IoTに携わった経験からすれば、モジュールやプラットフォームではなく、デバイスやサービスのレベルまで用意してもらえると利用のハードルは格段に下がるように思えるが、そうなれるように次の準備も検討しているという。SORACOMなど国内ライバルも存在するが、クラウドサービスも込みで提供できる同社だからこその良さを打ち出してくれることを期待したい。

 

【まとめ】加速するAI技術の応用、足踏みするIoTの利用

AIは熟練技術者の操作解析などにより、その技能が数値化されることに大いに役立つ。人手不足解消、働き方改革が求められるからこそ、その浸透は早いのではないだろうか。これにより、俗にいう”職人技”の再現性を高め、高い技術レベルの標準化がされることには期待も大きい。

一方、IoTはというとIoT言葉を耳にするようになって早くも5年以上経ったが、生活に浸透しているとはいいがたい。このIoTが、ものづくりをどのように変えるのか興味があったが、まだ「見える化」のレベルまでという印象が強い。やはりIoT導入の壁は存在しており、スマートフォンでアプリ課金をするようには使えないからではないかと思う。この辺りは、sakura.ioなどIoTプラットフォームと呼ばれるものからもう一歩ユーザーに歩み寄る施策が必要になるのであろう。しかしながら、エッジコンピューティングやフォグコンピューティング、インダストリー4.0など周辺環境の要求によりIoT化が加速することは間違いない。使う側もものづくり(製造業)のIoT化の入り口としては、まずはコスト削減効果が上がるかどうかの検証から始めるなど、「まずはやってみる」のもいかがであろうか?

 

【執筆:編集Gp ハラダケンジ】

 

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