【Backlog World 2019レポート①】Backlogと「プロマネ×働き方改革」

26日、秋葉原UDXギャラリーネクストにて、「Backlog World 2019」が開催された。

”Backlog”と聞いて、”プロジェクト管理ツール”と答えられる方がどれだけいらっしゃるだろうか。このBacklog(https://backlog.com/ja/)、プロジェクト管理に必要な機能がオールインワンのクラウドサービスであり、福岡に居を構え、現在は日本、米国、オランダ、シンガポールに6つのオフィスを展開する株式会社ヌーラボが開発。2006年に正式版がリリースされており、すでに10年を超える実績を持つ。今や100万人以上が利用する、日本最大級のプロジェクト管理ツールであるといえよう。
同イベントは、そんなBacklogのユーザーコミュニティである”JBUG(ジェイバグ)”が運営し、開催している。

JBUGとは
JBUG(ジェイバグ:Japan Backlog User Group)は、Backlogユーザーによるコミュニティ。プロジェクト管理は、全ての業種/職種において必須のスキルである一方、そのノウハウが学べる場はあまり多くない。Backlogは国内最大級のプロジェクト管理ツールであり、すでに100万人を超えるユーザーがいることから、「プロジェクト管理」「仕事のうまい進め方」に関する知識やテクニック、ノウハウを学び合うことを狙いに発足した。
実体験から学んだ知見やノウハウのシェアを通し、より「働くを楽しくする」の実現に向けて活動中。

Backlog Worldとしての開催は2回目となる「Backlog World 2019」。今年は「プロジェクトマネジメント×働き方改革」をテーマに、 数々のセッションやワークショップ、情報共有の場、Good Project Award(表彰イベント)などが開催された。

本レポートではRoom2で行われたセッションを中心にBacklogの使い方事例などを2回に分けて、その内容をお届けする。

 

休日にもかかわらず盛況な会場

イベント当日は土曜日、且つ、参加にあたっては有料という条件にもかかわらず、多くの方が来場され、各会場は満席。急遽、椅子を増やしてもセッションによっては立ち見も出るような盛況ぶりであった。

ランチの提供や懇親会など、1日楽しめるイベントになっていたことは間違いない。

 

すべてのセッションで満席だったRoom2

リモートワークのコミュニケーション~Backlogの使いこなし術~

(株)エイチツーオー・スペースのたにぐち まこと氏からは『「連絡板」が支えるBacklog嫌いなクライアントとのコミュニケーション』と題して、同社におけるBacklogの使いこなし術についての解説があった。

同社は「ちゃんとWeb」をコーポレートテーマに、Webサイトを「ちゃんと」作ることを目指したWeb制作会社であり、大学や教育機関を中心に、Web制作を行っている。また、同社では10年ほど前からBacklogを使っているが、会社としてオフィスレスの完全テレワークを実現しており、リモートワークのコミュニケーションに欠かせない存在となっている。

「電話なんて爆発して欲しい!」と同氏は語るが、電話は受けるのもかけるのも嫌いだという。電話することで、パートナーの集中力を途切れさせたり、社員の時間を拘束したり、そして、記録に残らないことがその理由だという。故に業務において、電話はほとんど使わない。また、メールも話題の整理がしにくいことから、会社として電話とメールは使わないようにしている。

同社ではチャットとBacklogを中心にコミュニケーションを行っているが、チャットは受け取る側の負担もあるので、脱電話、脱メール、脱チャットのためにBacklogを使うという。たにぐち氏によれば、Backlogには「3ない」があり、使いこなすヒントはここにあるという。

そのためには”ディレクターが「ちゃんと」すること”が重要であるという。ディレクターがその粒度や内容、期限、アサインなどについて整理整頓していることが必要であると説く。

また、同氏は”ダメなBacklog活用”の例として、1つのプロジェクトでクライアントとパートナー(開発協力会社)を直接つないでしまうことを挙げていた。これをしてしまうとクライアントからのあいまいな要望が直接パートナーに伝わってしまったり、パートナーとの議論など開発のごたごたなどもクライアントに見えてしまう為にパートナーに無用な不安を与えてしまう。この問題解決のため、同社ではディレクターが「通訳」「クッション」になるべく、プロジェクトをクライアント用/パートナー用の2つに分け、それぞれに管理している。一見すると、タスクのコピペなど作業が増えるようにも思えるが、入口から分かれていることで記載内容の間違いが起きることはなく、それぞれに効果的な表現の会話ができるなど良い面も多い。

さらに同氏が行っているBacklog TIPSの一つに締め切りの設定がある。毎日期日メールが通知されるようになると締め切りにマヒしてしまい、良いことではない。その為、締め切りをタスクごとに厳密には行わず、親子課題を構成し親課題にだけ締め切りを設定することで、日々のメールから解放されるようにし、負担が軽減される運用としている。

同氏によれば、Backlogを中心としたコミュニケーションのためには電話やミーティングを減らす工夫も必要として、「管理ツールやメールの返信はできるだけ迅速に」「自分からは電話やチャットを極力しない」ことを心掛けているという。

最初はなかなか使ってもらえないかもしれないが、利用者の負担を減らす工夫で、根気よく使いやすいように運用ルールを考えていくことが、Backlog活用には必要である。

 

 

きちんと使うといろいろとツールが教えてくれる~新たなチーム構築への取り組み~

(株)IDOMの守屋 慧氏からは『小さなチームの全員マネジメントな日常』と題した自社での取り組みについての紹介があった。本イベントではスピーカーの公募も行っているのだが、そこで選考された発表ということもあり、チームマネジメントの現場に活かせる内容が数多くあるのではないだろうか。

同社は中古車販売/買取のGulliverなどの運営母体であり、経済産業省と東京証券取引所が共同で実施する「攻めのIT経営銘柄2017」に選定されるなど、早くからIT活用をされている。そんな同社の自社Webサービス開発チームでスクラムマスターを務める同氏は驚くことに長野県在住のリモートワーカーであり、少数精鋭のチームを週に1回の出社でも回せるよう、情報共有のために”きちんと”Backlogを活用しているという。

同氏がこの業務にアサインされた際、我流スクラム開発で取り組んでいた結果、様々な問題が発生していたという。

まず、この改善に向けて2つのことに着手したという。しかしながら、残念なことにあまり変化は見られなかったという。

その大きな理由として、前任者がやっていたような「情報の集約と分配」が行えておらず、自分がリーダとして機能できていなかったと反省する。

着任後、4か月が経ち、自分の持っている知識だけでは足りていないことを実感し、書籍や勉強会から多くを学び、その結果を反映。情報共有のためにBacklogをきちんと使い、計画と実績の見える化に努めた。その過程で、きちんとツールを使うといろいろとツールが教えてくれると感じたという。

しかしながら、改善はされているものの、生産性向上までは実感できておらず、さらなる結果追及のため、スクラムマスター研修に参加し、その内容を業務にフィードバック。結果、改善意欲の向上(ボトムアップでの活動増加)や業務効率化アップにつながった。

この6か月である程度業務が回せる環境構築はできたが、表面的な作業改善の限界や大きな改善をするにはリソースが不足していることなどもあり、改善スピードは鈍化し始めた。その為、これからはPO(Product Owner)チームと一体となった「事実の共有から思いの共有」ができる本当のアジャイル開発チームを目指す。

 

~後編に続く~

 

【執筆:編集Gp ハラダケンジ】

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