【ワイヤレスジャパン2018】来るぞ、未来!! 膨らむ5Gへの期待と高まるIoTの鼓動〜後編〜

2018/05/30

2020年には、インターネットに接続するデバイスは500億台になるとの予想がある。それが事実となるかどうかはわからない。だが、インフラや工場、機械だけでなく、私たちの身近なモノのほとんどが、そのうちデバイス化されていくことには疑いの余地がない。ワイヤレスジャパン2018でそう感じた。後編では、各社しのぎを削るLPWAを中心にさまざまなIoT情報を紹介する。

 

LPWAの宴開幕!! SigfoxもLoRaWANもEnOceanもソニー独自も集い、あたらしいIoTフィールドへ

Low Power Wide Area、通称「LPWA」。省電力で広域をカバーする無線通信ネットワークだ。承知の通り、通信速度はWi-Fi、ZigBee、Bluetoothなどに比べ劣るが、その通信距離は長大。消費電力の抑制と効率的な通信を命題とするセンサーデバイスの頼み綱であり、IoT普及拡大のトリガーである。

今回、LoRa関連では「LoRaを基盤にした屋内測位や漏水検知システム(大井電気)」や「LoRa対応のゲートウェイ(マクニカネットネットワークス、レンジャーシステムズ)」などの展示がいくつか見られた程度と、昨年のLoRaパビリオンのような展示は見られなかった。

 


一方で、LoRaWANのライバルサービスである、Sigfox。フランス発のLPWAだが、「低消費電力」、「低コスト」、「遠距離通信」といった特徴を持ち、1国1キャリアというルールもあり、サービスを上流から下流まで一気通貫で提供している為、仕組みとしてわかりやすい。その対応サービスがずらりと並んだのが、京セラコミュニケーションシステム(KCCS)のブースだ。

 

・京セラコミュニケーションシステム「Sigfox対応サービス」

「見守りセンサー」、「トラッカー」、「加速度センサー付きボタンデバイス」、「溶存酸素可視化センサー」。それに自転車用の「盗難防止タグ」など、展示はバラエティにあふれていた。

中でも興味を引いたのが、「灯油残量検知デバイス」。一見、デザインはストーブ用の灯油タンクの蓋と変わらないが、れっきとしたIoTデバイスで、タンクに取り付けることで、灯油タンクの残量を検知してくれ、自動で業者に灯油の依頼を送信してくれるという。寒冷地の冬の生活を支えてくれるIoTである。

すでにサービスインして1年が経つという、ネスレ日本の「キットカット たのめるくん」もユニークな存在である。内容は、オフィスでよくみかけるお菓子ボックスだが、専用のボタンデバイスが付属。ボックスのキットカットが少なくなったときに押せば自動発注される。

KCCS ブースには、大掛かりなIoTシステムこそないが、Sigfoxが私たちの生活に身近な分野のIoTサービスに多く活用されていることがわかる。ここにスゴさが感じられる。なぜなら、ネットに接続するデバイス2020年までに500億個に上るといわれており、これから身の回りのあらゆるモノがデバイス化されていくからだ。一見、なんの変哲もないモノが実はネットに繋がっている。そんなIoT時代を確かに感じさせる展示内容だった。年間通信量約100円/台という超低コスト運用が可能なことも考えれば、Sigfoxから、今後もさまざまなIoTサービスが続々と登場してくることだろう。

・NISSHA「長距離無線センサー」

NISSHAは「EnOcean」を活用したセンサーの展示を多数行なっていた。EnOceanは、ドイツのシーメンス社が研究開発していたエネルギーハーベストを活用した無線通信技術。光や熱、振動などをエネルギーとし電力にする。電池なしでもセンサーはデータを送ることができ、消費電力もZigBeeの10分の1と小さい。NISSHAのブースには多く来場者が集まっていたのを考えれば、EnOceanの浸透はますます広まっていくことだろう。

 

・ソニー「Sony’s LAPW」

ソニーは2017年に発表した開発中の独自LPWA技術を紹介しており、プレゼンや実証実験のパネル展示には多くの来場者が集まっていた。

Sony’s LAPWの大きな特徴は「低消費電力」「長距離伝送」「高速移動時利用」だ。低消費電力では、あらたに開発した集積回路などの技術によりモジュールの消費電力を低減。コイン電池でセンサーの動作を可能にした。長距離伝送では、山などの障害物がない環境下で100㎞以上の遠距離通信に成功。高速移動時利用では、時速100㎞の高速移動時においても安定した通信を確認したという。通信距離については、長距離通信を実現しているSigfoxでおよそ50㎞といわれている。Sony’s LAPWへの期待は非常に大きいといえる。

 

 

プラットフォーム、セキュリティ、位置即位。進化し広がり続けるIoT

・さくらインターネット「IoTプラットフォーム」

IoTプラットフォームで目を引いたのがさくらインターネットのブースだ。

IoT開発向け/運用向けの2種のプラットフォームを用意しており、サービス内容も料金もきわめてシンプルでわかりやすい。SIM、モジュール、プラットフォームがセットになった開発者向け「sakura.io」では、モジュール1台から購入できかつ価格も8,000円と低コスト。またプラットフォーム利用料金も通信モジュール1台につき月額60円と小規模の開発でも手軽に検討ができる。また「さくらのセキュアモバイルコネクト」はチップ型SIMとクラウドからなるプラットフォームであり、近年、IoTデバイスのハッキングが取り沙汰されているが、閉域網接続という高セキュリティな環境での運用が可能であり、一般的なSIMのような通信速度制限もなく、月額12円という低コストも魅力的だ。

・兼松コミュニケーションズ「セキュアゲートウェイ」

NTTコミュニケーションのパートナーとしてさまざまなIoTサービスを展開する兼松コミュニケーションズのIoTゲートウェイも魅力的だ。トレンドマイクロのIoTセキュリティとコラボした高いセキュリティ環境を持つのみでなく、Linux対応でユーザーが自在にカスタマイズも行える。加えて、海外の主要国の認証を取得済みで、海外進出の際にも活用できるという。

・マルチスープ「iField indoor」

今回、ロケーションに特化したブースが設置されていたが、IoTの見える化サービスはますます活況。iField indoorはビーコン×スマホのソリューション。GPSが届かない工場など屋内で、対象物の位置測位に活躍してくれる。また、施設内のマップに測位結果を反映させた「仕事現場の見える化」や測位情報をもとにした作業分析や行動比較なども行える機能もある。

・ドコモ「ロケーションネット」

ドコモのロケーションサービスはBLEタグと位置検知プラットフォームからなる。専用のBLEレシーバーを付与すれば、見守りや忘れ物検知はもとより、牛の放牧管理にも活用できるのがユニークだ。イノベーション統括部・企業連携担当の塚田千佳子氏によれば、牛がいなくなった場合のコストは業者にとってかなりの痛手になるのだという。

また、同サービスは当展示会場での人材管理にも活用しているそう。見せてもらったが、こちらもおもしろい。タグ×位置検知プラットフォームはさまざまなニーズがありそうだ。

 

広がる5Gと意識しないIoT、そこから新時代がはじまる

IoTの前身の概念である、ユビキタスコンピューティングの祖マーク・ワイザー博士は、「本当の道具は道具として意識されない」と自著論文「21世紀のコンピュータ」で書いている。

今のIoTはどうだろうか? もちろん期待は高いままだが、モノがインターネットにつながること、そこに自体に特別な驚きはない。つまり、板に付いてきたということだろう。5Gの実用化が2020年にスタートすれば、新たなライフスタイルの提案がされることは間違いない。一方、LoRaWAN、NB-IoT、SigfoxなどLPWAの実用化により、IoTは生活の隅々にまで浸透をはじめるはずだ。そうなれば、IoTは私たちにとって空気のような存在になっていくだろう。

ワイザー博士が約40年前に思い描いたITの未来が、もうすぐ到来しようとしている。ワイヤレスジャパン2018は、今がその時代の入り口であることを、存分に感じさせてくれた。

来年はどんな成功事例が見られることであろう。

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