「日本企業は組織文化を変革し、イノベーションを始めるべき」-ガートナー

ガートナー ジャパン株式会社は、日本企業がデジタル化の取り組みにおいて世界の企業に後れを取っており、その差が拡大しているとのサーベイ結果を発表した。2020年、「日本企業は組織文化を変革してデジタル化を加速し、世界に取り残されないよう優秀な人材を育成してイノベーションを始めるべきである」とガートナーは提言する。

日本のCIOにとって今は、今後直面する”ディスラプション”を見据えたリーダーシップで、転機を勝機に変えられるよう備えるときであるという。

世界とのギャップは拡大し続けている

ガートナーが世界のCIOを対象に実施した2020年のCIOアジェンダ・サーベイの結果から、現在ではあらゆる組織がデジタル化へと邁進しており、世界の企業の40%はデジタル化の取り組みの拡大期に達したことが明らかになった。拡大期に達した企業の割合は、2018年の2倍以上に増えているという。2019年のCIOアジェンダ・サーベイでは、日本企業は世界と比べてデジタル化の取り組みにおいて後れを取っているとの結果が出ていたが、2020年の同サーベイではその差はさらに広がり、11ポイント (2019年) から28ポイント (2020年) にまで拡大した。

アナリストでバイスプレジデントの藤原 恒夫氏によれば「特に国に保護されている業界においては、日本企業は完全に世界から取り残されており、このままでは衰退していくことは明らかです。残念ながら、国内で周辺の競合企業を見ているだけではこの事実には気付けません。CEOもCIOも、常に世界に目を向けて競争力を養うことを心掛けていく必要がある」という。

日本企業は「ITのリーダーシップ」と「戦略」の能力において世界に後れを取っている

組織は多くの苦境に直面しています。デジタル時代においては、ディスラプション(Disruption=破壊的創造)は日常茶飯事になりつつある。2019年6月4日から8月5日にガートナーがオンラインで実施した「2020年のCIOアジェンダ・サーベイ」の結果、世界中の90%の組織が過去4年の間にディスラプションに直面しており、その中で最も一般的な苦境は「組織のディスラプション」(上層部の変更、政治的リーダーシップの変更、所有権の合併・分割・変更などに起因するオペレーションの大規模な混乱) であり、全回答者 (世界) の47%がこれに遭遇したことが判明しました。一方、日本でも、最も一般的なディスラプションは「組織のディスラプション」(57%) であり、次いで「ビジネス環境における外部混乱」(49%) となりました。日本企業の20%がいまだディスラプションに直面していないと答えていることから、日本企業は今後数年のうちにディスラプションに直面する可能性が高いとみられる。

CIOアジェンダ・サーベイでは、企業が最近の転機にどのように対処したかに基づいて、回答者であるCIOが所属する企業を、「適合した (Fit) 企業」と「不適合な (Fragile) 企業」の2つに分けている。
適合した企業は、ディスラプションの後に、ビジネス・イニシアティブへの資金提供や適切な人材の獲得といった能力を、ディスラプションの前よりも強化した形で転機を乗り越えている。
一方の不適合な企業は、転機を乗り切った時点でこうした領域の能力が低下していた。適合した企業のディスラプション後3年間における年間収益増加率の平均は1%であり、これは不適合な企業のマイナス4%を大幅に上回る結果に。

日本企業は、世界の適合した企業と比較すると、特に「ITのリーダーシップ」と「戦略」に関する能力が課題であることが浮き彫りになった。適合した企業の特性の中で、日本企業が大きく引き離されていた項目は、「IT組織の文化を育成、変革する」(ITのリーダーシップ) であり、次いで「企業が変化を舵取りできるようにする」(ITのリーダーシップ)、「明確で一貫性のあるビジネス戦略全般」(戦略) という結果となった。「戦略」に関する能力については、「データ・ドリブンな意思決定をタイムリーに下す」ことにおいて、日本は世界に遅れていることが分かった。

藤原氏は次のように述べています。「経済産業省が2019年4月に発表した『IT人材需給に関する調査 (概要)』によると、1990年代のバブル経済崩壊以降、日本におけるIT人材の生産性の上昇率は、諸外国に比べ低水準が続いています(*)。それでも国内だけを見ていると、企業は成長している上に、競合他社とも横並びであるため、多くの企業は危機感をさほど抱いていないように見受けられる。黒船の来襲を待っているのでしょうか。まずは、既存の人材を元気付け、世界にも通用するよう育成するところから着手すべきです」(* 上記、経済産業省の調査概要の参考資料によると、2010年代の日本の労働生産性上昇率が0.7%であるのに対し、米国2.2%、ドイツ4.2%、フランス2.3%、さらにさかのぼって1995年以降の労働生産性上昇率についても日本の2.4%に対し、米国5.4%、ドイツ4.2%、フランス3.1%となっており、日本は低水準である)

採用が進む上位3つの先進テクノロジは、世界も日本もRPA・サイバーセキュリティ・AI

ITを使って競争力を向上させている日本企業では、ロボティック・プロセス・オートメーション (RPA)、サイバーセキュリティ、人工知能 (AI) の採用が上位3項目を占めています。世界の適合した企業も、サイバーセキュリティ、AI、RPAの順で採用が進んでいます。

藤原氏は次のように述べています。「日本では、新しいことに挑戦して下手に失敗すると、社会から必要以上にたたかれます。このような文化だと、どの企業も新しいことに挑戦しなくなります。ITが世界の水準から取り残されていることに早く危機感を持ち、組織文化を変革し、イノベーションができる安全圏を設け、優秀な人材を確保してデジタル化にチャレンジし、世界の企業が注目するような存在になることを目指すべきです。少なくとも、現場レベルが取り組もうとしている先進テクノロジは、世界も日本もほぼ同じなのです」

ガートナーの2020年CIOアジェンダ・サーベイは、2019年6月4日から8月5日にオンラインで調査が行われました。回答者はガートナー エグゼクティブ プログラムのメンバーおよびメンバー以外のITリーダー (CIO) で、世界64カ国のあらゆる主要業種に属する1,000人以上のCIOから回答を得ました (サンプル総数は1,070、うち日本のサンプル数は35)。回答したCIOが所属する企業の売上高/公的機関の予算の総額はおよそ3兆5,000億米ドル、IT支出総額は675億米ドルに達し、大企業からの回答が多くなっている。

前出の藤原氏は、来る2020年2月3日 (月)、「日本のCIOは、いかにして自社のデジタル変革を推進すべきか」と題したWebinarに登壇予定である。また、2月27~28日に開催する「ガートナー アプリケーション戦略&ソリューション サミット 2020」(八芳園本館) においても講演を予定している。ご興味のある方は足を運んでみるのも良いのではないだろうか。


本レポートは、ガートナー ジャパン様のプレスリリースの内容を元に作成しております。
ソース:https://www.gartner.com/jp/newsroom/press-releases/pr-20200114

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