IoT Vol:02「ユビキタスから30年、今なぜIoTなのか?」

2018/05/04

昔のITやPCの様子に、きっと驚かれるかもしれません

前回の記事で、IoTの概念は30年も前からあったと紹介しましたが、ここで疑問が浮かびます。それにしても、『なぜ今なのか?』と。

あらゆるところにコンピュータが存在し、お互いに自動でインターネット通信を行う世界。この壮大なビジョンの具現化が進むまで30年という歳月は果たして長いのか、短いのか。

そこで、1980年代当時のIT・コンピュータ(PC)・情報通信を追いかけてみると−−

 

<IT>

・インターネットは大学や研究所などが利用するネットワークだった(80年代後期まで)」
・「インターネットとパソコン通信間の相互通信が可能に(89年)」

<コンピュータ>

・「今のmacbookやimacからは想像できないほど大きい『appleⅢ(80年)』発売」
・「記録媒体はフロッピーディスクが基本」
・「ノートPC東芝『ダイナブック』発売(88年)」

<情報通信>

・「モトローラが世界初の商用携帯電話を発売(83年)」
・「日本発の携帯電話『ショルダーホン』発売(88年)」

 

 

このように、現在の環境からはなかなかイメージしづらい時代。おそらく、フロッピーディスクやショルダーホンの存在を知らない人も多いでしょう。また、当時のノートPCが3キロ近かったことを聞けば、“重すぎでしょ”と驚くかもしれません。この時代にIoTの起源・ユビキタス・コンピューティングが語られていたと考えると、すさまじいスピードでITは進化・発展していったことがわかります。

では、その加速度的進化をともないIoT時代に突入した理由は一体・・・?

 

「ムーアの法則」を知っていますか?

今、IoTを実現できる時代がやってきたのはいくつかの理由がありますが、もっとも大きい原因はコンピュータの小型化。そして、そこに密接な関係を持っているのが「ムーアの法則」という概念です。

ムーアの法則は、インテルの創始者のひとり、「ゴードン・ムーア」が1965年に発表した論文で提唱した半導体の未来です。その内容は、「半導体技術の進展により、18ヶ月から24ヶ月の周期でその性能は倍増していく」というもの。仮に、ここに半導体デバイス(電子回路)があるとすると、その性能が18ヶ月後には2倍になっているということ。もっといえば、2倍ということは、同じ性能の半導体デバイスを半分のサイズでつくれる、さらにコストも小さくできるということでもあります。

そんな倍々ゲームみたいな、ウマい話なんてある? と、疑問を持つ人もたくさんいると思います。しかし・・・、ムーアの法則が提唱されてから早や半世紀が過ぎましたが、半導体はこの通りに進化してきたのです。この半導体の微小化・高性能化から、コンピュータやさまざまなセンサーが小さくなり、あらゆるデバイスが小型化、廉価化していきました。つまり、誰の手にもコンピュータが行き渡る下準備をつくったのがムーアの法則なのです。

 

IoT時代の到来は、世の中の課題とも深い関わりがあるようです

ムーアの法則に加え、2010年から現在に至るまでの約10年のトピックもIoT時代の到来を後押ししています。「スマートホンの爆発的な普及」、「4Gや5Gといった高速通信技術の登場」、「Wi-FiやBluetoothなどの無線技術の進化」、そして「クラウドコンピューティングの普及」です。

ちなみに、「IoT」という言葉が生まれたのも、2010年ごろ。マサチューセッツ工科大学(MIT)のAutoIDセンター創設者のひとり「ケビン・アシュトン」氏がはじめだとされています。ただ、アシュトン氏がIoTという言葉を用いたのは、自身の研究テーマである「モノにRFID(電子タグ)をつけオンラインで管理するシステム」について。今日のユビキタス・コンピューティング的なIoTイメージとは若干異なります。ここから、イメージが定まったのは2015年と最近のことで、以前よりユビキタス・コンピューティングに取り組んできたIBMなどの企業がIoTという言葉を活用するようになったことで、広まっていったと考えられています。

さて、これで、この10年で技術的な基盤やイメージの位置付けができあがったことはわかりました。しかし、これらのみがIoT時代の到来を促進させてきたわけではありません。実は、社会課題からの深刻な希求もあるのです。

日本に限定した話をすれば、今は誰もが知るようにまごうことなき少子高齢化社会。2025年には超高齢者社会が現実のものとなり、5人に一人が75歳以上、3人に一人が65歳という世界でも類を見ない年齢構成の国になります。ここから考えても明らかなように、労働人口である若者は減る一方。さらに近年来、経済も疲弊中です。その打開策として「自動化」「効率化」「見える化」「スト削減」を期待できるIoTは政府からも熱い視線を集めています。テレワークや企業間連携などによる労働支援ツールとして、または医療・介護問題のソリューションとして、さらに防災・減災はもとより橋や道路など社会インフラの長寿命化システムにもなるIoT。あらゆるところに存在するコンピュータが、この「課題先進国」を支える日はそう遠くはないかもしれません。

さらに、ビジネス的な課題も背景にあるようです

急速な発展を遂げ、市場を拡大してきたIT業界ですが、そこに陰りが見えはじめています。例えばスマホやパソコン。すでに普及は終焉を迎え、近年の販売数はどちらも横ばいです。つまり、これまで普及に尽力していればよかった通信キャリアやデバイスメーカーがビジネスモデルの転換を迫られている証でもあります。

そこにきて、IoT時代はまさに一条の光。なぜなら、従来のモノにセンサーを付ければ、IoTデバイスというサービスが描けるからです。グローバルでの話題になりますが、大手調査兼金融情報企業で知られるイギリスのHISマークイットは「2017年では約270億個のIoTデバイスが、2030年には1250億個となる」という調査予測を立てています。ここから考えても、日本のIoTデバイス競争は激化していくことでしょう。

IoTは今、大きな渦のように技術、イメージ、社会課題、そしてビジネスを飲み込んで、次の時代をつくろうとしています。

 

 

 

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