IoT Vol:05「IoT がめざす、スマート! スマート! スマート!」

2018/06/28

スマートスピーカー、スマート家電、スマートホーム、スマートシティなど、昨今、”スマート~”という言葉を目にする機会が多くなりました。既存の仕組みから”賢くなる”ことでスマートの文字が付与されるようですが、これはIoTにもあてはまるのでしょうか?

果たしてIoTにも”スマート”はあるのでしょうか?

スマホからその浸透がはじまったような気がしますが、IoT界隈でもよく耳にする「スマート」という単語。スマート家電も続々登場している今当たり前感もありますが・・・、スマートって一体なに、という疑問も。“洗練”、“賢い”、“モデルみたいにかっこいい”? よくよく考えてみるといまいちわからない。そこで今回はIoTがめざすスマートとはなにか、について見ていきましょう。

アメリカでは停電が生活に大きな影響を与えているようです

IoTスマートのなかでも大きな注目を集めるのが「スマートグリッド」。「次世代型電力ネットワーク」です。

電力安定供給は世界中の課題。とくに根深いのがアメリカで、スマートグリッド は2000年代初頭から提唱されています。2007年に「エネルギー自給・安全保障方(EISA)」、2009年に「アメリカ再生・再投資法(ARRA)」というスマートグリッド に関する法律も成立。加えて、国を挙げて促進させていくためオバマ政府が「グリーン・ニューディール政策」も掲げるなど、国をあげて活動を推進。ARRAでは、スマートグリッドやバイオ関連の研究に約3100億円もの資金を投下すると発表し、世界中の話題を集めました。すごい。

さて、なぜ発電量世界大2位のアメリカが、そんなにスマートグリッドに熱心なのか。その理由は「既存ネットワークの老朽化」にあります。アメリカでは、たびたび大規模な停電が発生し人々の生活に大きな影響を与えてきました。例えば、2003年の「北アメリカ大停電」。ニューヨークのあるアメリカ北東部周辺で二日間にもおよぶ停電が発生。交通機能は麻痺し、のべ5000万人に影響がでたといいます。ことの発端は送電線と樹木の接触ですが、人的ミスや設備の故障も拍車をかけ、ハイパー級の停電に至ったそうです。加えて、シリコンバレーがあるカルフォルニア州でも、2001年、2006年に送電機器の故障などから広域停電が発生しています。ちなみに、カルフォルニア州は停電が軒並み多い州だそうで、調べてみると、年間の1軒あたりの停電回数は0.965回、1軒あたりの平均停電回数はなんと130分! これに対して日本平均では0.13回/年、22分/軒とのことですから、いかに影響が多大かわかります。

参考:
http://www.tepco.co.jp/corporateinfo/illustrated/electricity-supply/1253674_6280.html

http://www.kepco.co.jp/corporate/profile/data/teiden_hikaku.html

こうした既存電力ネットワークをIoTの力で改善していくのがスマートグリッドなのです。

 

スマートグリッド は安心の電力ネットワークを築きます

スマートグリッド の定義については、情報通信政策研究所「スマートグリッド関連サービスにおける プライバシー・個人情報保護に関する調査研究」がわかりやすいですが、簡単にいうと、「送電量と消費電力の双方向管理」です。その仕組みがこちら。
参考:
http://www.soumu.go.jp/iicp/chousakenkyu/data/research/survey/telecom/2012/smartgrid2012.pdf

このなかでも欠かせないのが、「スマートメーター 」の存在です。IoTでいえば、おなじみのデバイスです。このスマートメーターは「家やオフィス、工場に設置する消費電力測定機器」で、中央に位置するコントロールセンターに「各建物の電力消費」をリアルタイムに知らせてくれます。ここで、“電力メーターがあるでしょ”と感じる人もいるかもしれません。しかし、検針員さんがいることからもわかるように、電力メーターは「累積電気消費量や月ごとの電力消費量」しか知ることができません。この違いはとても大きく、電力ネットワークのあり方を一変させます。

従来、発電・送電施設は「予測最大消費量」をもとに運用されてきました。つまり、もっとも大きい電力消費はどのくらいか? の予測です。しかし、上述したように、電力メーターの統計からでは正確な最大消費を知ることはきわめて困難。そこにスマートメーターが導入されることで、正確な予想を立てられる。つまり、詳細なデータをもとに「発電・送電施設を建設」でき、かつ蓄電できない余剰発電の抑制にもつながります。さらに、スマートメーターとコントロールセンターの連動では、消費電力の制御も可能。例えば、「より電力を使いたい顧客向け、より電力を抑えたい顧客向けプラン」のきめ細かい設定も可能になります。

また、スマートグリッド の特徴はスマートメーターだけではありません。「再生可能エネルギーの取り込み」もそうです。スマートグリッド により、太陽発電や風力発電などの分散型電力を電力ネットワークに取り込めるようになり、再生エネルギーの余剰発電の活用がスムーズ化。大幅なエネルギーコスト削減を実現します。

 

スマートグリッド には先の未来があります

スマートグリッド が社会インフラになると、「まちそのもの」
すら、変えていきます。それが「スマートシティ」です。スマートメーターやソーラーパネルが設置されたビル群や「スマートハウス」、電気自動車、はたまた電気自動車の充電スタンド、道路や信号機などの交通インフラなどなど。それが壮大なネットワークを形成し、地域そのものが自動でエネルギーの最適化を行えるようになります。

現在、日本でもスマートグリッド 、スマートシティ への取り組みは活性化しています。経済産業省「次世代エネルギー・社会システム協議会」に採択された、「横浜市」「北九州市」「豊田市」「けいはんな学研都市(関西文化学術研究都市)」の4都市ほか、さまざまな都市でスマートシティの実現に向けた実証実験が推進中です。

IoTからはじまる次世代電力ネットワークとまちづくり。未来には、果たして私たちにはどんな生活が待っているのか、楽しみに待つとしましょう。

 

【執筆:編集Gp 坂本 嶺】

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