【情シス基礎知識】~Windows10を学ぶ~サービスチャネルと機能更新の関係

Windows 10からアップデートの手法が従来から大きく変わりました。これにより情シスの負担が増えるともいわれ、Windows 10への切り替えに二の足を踏んでいる方もいらっしゃるのでは? また「SAC(Semi-Annual Channel:半期チャネル)」「LTSC(Long-Time Servicing Channel)」など聞き慣れない言葉も。 今回はWindows 10のアップデートチャネルを解説し、機能更新の際に“どのタイミング”で、“どのような更新プログラムを受け取れる”のかなど、その選択肢や具体的なメリット、問題点などを簡単に解説します。

Windows 10の4つのアップデート方法

Windows 7のサポート終了を2020年1月に控え、Windows 10への乗り換えもいよいよ追い込みとなる2019年度が始まります。さて、Windows 10で変更となったアップデートサービスチャネルをご存知でしょうか?過去には「CBB」や「LTSB」と呼ばれていたものから、名称が変更になっています。中身についてもこの機会にしっかり理解して、自社にとって最適な選択を行いましょう。

 

Windows 10 アップデートの「サービスチャネル」とは

Windows 7とは異なり、Windows 10では、毎年3月と9月の年に二回、機能更新のアップデートが行われます。半年に一度という、情シスにとってはかなりの高頻度でメジャーバージョンアップが行われるため、ユーザー企業は社内の既存システム、または自社が販売するシステムとOSの互換性担保の検証に追われることになるでしょう。このような企業ユーザーの救済策として、Microsoftではバージョンアップのプログラムをいくつかのブランチに分けて用意し、ユーザーが選択できるようにしています。このブランチのどれを選択するかにより、アップデートのタイミングと周期が変わります。そして、ユーザーが選択・適用するバージョンアップのブランチが、「サービスチャネル」と呼ばれています。

2019年3月9日現在、アップデートチャネルには以下の4種類があります(更新タイミングの速い順)。

名称 用途
1 Windows Insider Preview 開発者向け
2 Semi-Annual Channel Targeted(SACT) (ホームユーザー等)一般ユーザー向け
※廃止予定
3 Semi-Annual Channel(SAC) 企業内一般ユーザー向け
4 Long-Time Servicing Channel(LTSC) ミッションクリティカルなシステム向け

これらはWindows Updateの設定やWindows Update for Business(WUfB)で設定ができます。具体的にどのような方式で、どういった用途に向いているのか、これから見ていきましょう。

 

開発者向け「Windows Insider Preview」

「Windows Insider Preview」は実際の更新プログラムリリース前にプログラムを受け取れるサービスチャネルです。プログラムはユーザー環境で実行できる形で提供されますが、中身はまだ開発段階のものです。

企業のIT管理者、アプリ開発者向けのサービスチャネルであり、次の機能更新プログラムでリリースされる機能について先行して検証を行うことができます。企業での検証用に公開されているもので、各ユーザーが行った検証結果のフィードバックもできます。

アプリ開発者やユーザー企業のIT管理者・システム検証担当者は、プレリリース版の更新プログラムをテストすることで、更新プログラムが一般利用される前に互換性などの問題を発見することができます。ユーザーが問題を発見した場合、フィードバック Hub アプリ経由でMicrosoftに報告することができます。

このサービスチャネルのメリットは開発予定の機能を先に知ることができること、検証が先にできること、バグが発見されてもリリース前につぶせる可能性があることです。尚、デメリットはリリース前のものなので、多少不具合が残っている可能性があるということですが、そもそも機能検証用であり、開発者など一部のユーザーしか使わないことを考えると実害はないと言って良いでしょう。

 

組織内検証用に使える「Semi-Annual Channel Targeted(SACT)」

「Semi-Annual Channel Targeted(SACT)」または「半期チャネル(対象指定)」は、Microsoftによる機能更新プログラムリリースと同じタイミングで機能更新されていくサービスチャネルです。主にホームユーザーなど、一般ユーザー向けのブランチです。企業では、Microsoftからの機能更新プログラムリリース後すぐに機能更新はせず、時間をずらして安定バージョンを企業内展開することが一般的です。その為、このサービスチャネルを企業内での検証用途、新機能を検証する開発者向けに使うことができます。

過去「Current Branch(CB)」と呼ばれていたものが、2017年からOffice365のアップデートとの整合性のため「Semi-Annual Channel(Targeted)」という名称に変更されました。

メリットとしては、次に来るSACまでの間検証期間が取れることにあります。

 

但し、SACTは2019年春のリリースからは「廃止予定」であることがMicrosoftから発表されました。次に述べるSACに一本化されるとのことです。現在SACTを検証用途で使用中のユーザーは、一般用の端末への更新時期を再整理してWSUSやWUfBなどのアップデート管理ツールでの更新延期を行うことが推奨されます。

 

一般企業ユーザー向け「Semi-Annual Channel(SAC)」

Microsoftからの機能更新アップデートのリリースから約4か月程度経った後の安定したリリースを適用するサービスチャネルです。企業内の一般ユーザー向けとなっています。以前は、「Current Branch for Business(CBB)」と呼ばれていましたが、「Semi-Annual Channel(SAC)」「半期チャネル」という名称に変更されました。

SACTに4か月分の品質更新プログラムが適用されたバージョンが、このSACとなります。

メリットとしては、(約4ヶ月間待つことで)動作が安定したバージョンとなっていること、また、情シスがを使ってこの4か月の間に機能検証期間を取ることができることです。デメリットとしては、安定バージョンとはいえ、6ヶ月に一度は必ず更新しなければいけないことで、長期にわたって同じプログラムのまま使い続けることはできません。

 

長期機能固定バージョン「Long-Time Servicing Channel(LTSC)」

「LTSC」は、医療装置や金銭を扱う金融系システム、ATM、工場システムなど不具合・停止が許されない特殊な用途向けに機能の固定ができるサービスチャネルです。半年ごとの機能更新が行われず、2~3年おきの機能更新で10年間サポートされます。

Long Term Service Branch (LTSB)と呼ばれていたものが「Long-Time Servicing Channel(LTSC)」と変更されました。

特定用途のサーバーやデバイスは、安定してメインの機能が動くことが最優先事項です。そうした端末上ではメールやブラウザなどのユーザー使用アプリはあまり使われないため、ユーザーインターフェースの改善や最新機能への変更などは優先度が下がります。そうしたニーズに合わせて使用できるのがこのサービスチャネルです。

MicrosoftはこのLTSCを特定用途向けと宣言しており、企業内での一般的な端末への適用は推奨していません。Windows10 Enterprise LTSCエディションでのみ利用可能で、長期間機能固定ができ、不要なインストールが発生しないこと、またオフラインでも安全に最長10年使えることがメリットです。デメリットは、新機能が使えないこと、プロセッサのサポートに制限があることです。

(参考記事:使える!情シス三段用語辞典「LTSC(LTSB)」)

 

アップデートサービスチャネルまとめ

このようにサービスチャネルは、ユーザーがそれぞれ検証方法や使用目的に適したチャネルを選ぶことが重要になります。

アップデートプログラムのインストール延期などの管理を行えるツールWindows Server Update Services (WSUS)、Microsoft System Center Configuration Manager、 WUfBとの併用も考慮して、自社の組織ごとに最適なチャネルの検討と検証計画の策定を行いましょう。

 

 

【執筆:編集Gp 星野 美緒】

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