使える! 情シス三段用語辞典66「OT」

常に新しい用語が生まれてくる情報システム部門は、全ての用語を正しく理解するのも一苦労。ましてや他人に伝えるとなると更に難しくなります。『情シスNavi.』では数々のIT用語を三段階で説明します。

一段目 ITの知識がある人向けの説明
二段目 ITが苦手な経営者に理解してもらえる説明
三段目 小学生にもわかる説明

取り上げる用語を“知らない”と思った人は、小学生にもわかる説明から読んでみると、理解が深まるかもしれません!?

一段目 ITの知識がある人向け「OT」の意味

「Operational Technology」の略。さまざまな産業分野で使われる装置/生産システムの最適化を行う制御・運用技術を指す。

システムを扱う点はITと同義だが、OTはファクトリーオートメーションを目的としているため、「IT」とは別の文脈で語られ、独自の発展を遂げてきた。だが、近年双方の融合が求められている。その理由はITによる社会の変化にある。

社会の隅々にまでITが浸透し、OTは従来の装置/産業システムの最適化だけではない役割を期待されるようになった。たとえば、センサーによるビッグデータの活用だ。センサーで収集した大量のデータをITで分析。その結果を装置制御や運用にフィードバックさせることで、これまでにないサービス価値の創出ができるようになる。また、装置を情報システムと連携させることで、不具合の予兆検知や生産データのリアムタイム取得・分析なども可能となる。

また、その実現に大きな期待が寄せられ研究が進む「自動車の自動運転」の発展にもOTとITが欠かせない。人の運転が反映され、安全に走行するクルマ。これはOTの制御技術の賜物だが、自動運転のクルマが安全に走行するためには、周囲の車、人、信号、天気などの情報を読み取り制御される必要がある。それには、位置や地図、交通情報を提供するネットワークとの接続が欠かせないからだ。

このように、情報化社会が進むほど、OTに注目が集まりITとの融合が求められている。IoT時代、インダストリ4.0、コネクテッド・インダストリーズといったこれからの時代をつくるキーワードの実現のためにも、これらの融合は不可避である。

 

二段目 ITが苦手な経営者向け

工場視察に来た社長と談笑する生産システム部部門長の会話—

社長:佐々木くん、うちの工場の生産ラインは不具合がとても少なく、ベアリングの生産量もずっと安定しているね。この間、商工会議所の集まりで同業さんから“すごいですね”と言われて、誇らしかったよ。

佐々木:ありがとうございます。私もうれしく思います。

社長:たいへんだと思うけど、生産システムは我が社の根幹だ。今後も安定した運用を心がけてくれたまえ。ところで、君は「テスラ」って知ってるか? アメリカの自動車メーカーの。

佐々木:はい、存じています。テスラのEVは日本でも人気が高いらしいですね。

社長: おお、そうそう。なんとかマスクというCEOも大スターみたいに注目されているんだってな。それで興味が湧いて、今調べてるんだ。マスクさんは、もともとものづくり系の人物じゃないっていうじゃないか。

佐々木:スゴい人物ですよね。ほかに決済サービスも宇宙航空事業も展開していますし。

社長:なにかに書いてあったが、確か幼少のころにプログラミングをマスターしたんだよな。そうなると・・・、ITをきわめれば自動車もロケットもなんでもつくれるということなのか?

佐々木:う〜ん、それはどうでしょうか・・・。

社長:しかしだよ、佐々木くん。テスラやマスクさんじゃなくても、世の中で注目が集まっているのはIT会社やIT人材ばかりじゃないか。うちにもズバ抜けたIT人材が来てくれたら・・・、革新的なベアリングがつくれるかもしれないし、生産システムも、今よりももっともっとよくなるんじゃないか?

(少しムッとする佐々木さん−−)

佐々木:お言葉ですがそれは違うと思います。ITがどれだけ可能性を持っていても、優秀な人材が来ても、ものづくりを支えるのはやはり生産システムを開発・運用する我々のOT(オペレーショナル・テクノロジー)です。確かにITは時代を担う分野だと私も思います。今まで誰も思いつきもしなかったことができたり、ものすごいスピードでサービス展開できたり。でもそれは、結局インターネット上のことなんです。

テスラに関しても、EVの量産化には大苦戦したと聞いたことがあります。十中八九、生産システムの問題でしょう。このように、ITを中核にする企業がものづくりをしようとして、量産化につまづく例は多いんです。ITでどうなるものではありません。

社長:すまん、すまん。別に生産システム部を批判しているわけじゃないんだ。ただ・・・、IT的な考え方や技術も生産システム部門に必要なんじゃないか、と。

佐々木:それならば私も同意です。これから本格的に突入するIoT時代を見据えれば、OTにもITは必須です。クラウドとビッグデータにより取得したデータを分析し、生産システムに落とし込む。これまで製品を安定して製造する仕組みが、ネットワークに接続されビジネスの源泉を担うようになる。製造業にとって、このような流れは不可避だと思われます。

社長:そうか。じゃあ、IT・OT部門みたいなのを設立すべきってことだな。なら、情報システム部と連携してチームづくりを進めてくれないか。

佐々木:それが実現すれば、我が社の強みになると思います。ただ・・・、OTとITって、そもそもめざすベクトルが違うんです。それがチームづくりの障壁になるかと。海外では、OT人材とIT人材の仲介をビジネスアナリストに依頼してチーム結成にこぎつけた企業もあると聞きます。

社長:新しいことをしようとすると、なんでも難しいものだな。よし、私もIT・OT部門の重要性について社内に働きかけてみるとしよう。我が社は、世界をまたにかけるベアリング界の巨人をめざすぞ!

 

三段目 小学生向け

ズボンや靴、机にイス、それに自動車や飛行機とか「ものづくり」って、とっても不思議だ。だって同じものを百個も千個も、一万個だってつくれるんだもん。

僕が一生懸命がんばったって、そんなにたくさんできないよ。こないだの夏休みの工作でつくった木のくつ箱なんか特にそう。

木の板の長さを測って鉛筆で印を付けて、ノコギリでぎこぎこ。そのあと、表面をカンナっていうのでごしごし削ってツルツルにした。はじめてだったから、汗をたくさんかいて手も痛くなっちゃった。

次は板と板をくっつける工夫。ここはネジを使わない方法にしたくて、僕がとっても考えたところなんだ。

端っこをナイフで少しずつ削って足の指みたいな形にして、もう一枚の板もそうして、木の指の間に指をはめて絶対はずれないようにしたの。1回目と2回目は失敗しちゃったけど、パパに手伝ってもらって3回目にやっと成功! とってもうれしかった。パパもママもたくさんほめてくれたよ。

組み立てたあとは、最後の絵の具とニス塗り。これも難しかった。ただ塗るだけじゃいけないんだね。あっちはいっぱい、こっちはちょっぴりだとでこぼこになっちゃうから、平らな筆を使ってゆっくりゆっくり、ていねいに塗っていった。それで、ようやく完成したんだ。

パパは100点! って言ってくれたけど、僕は70点ぐらいかな? かかったのはぜんぶで一週間。最初はすぐにできるって、簡単だなって、思ってたんだけど全然違った。

ひとつ作るのも僕はこんなにたいへんなのに、お店にいけば、くつ箱って何個も何個も同じのが並んでいるでしょ? だから、ものづくりってとっても不思議だなって思ったんだ。

パパに聞くと、「いつも変わらず、同じものを何個もつくる技術を『OT(おぺれーしょなる・てくのろじー)』というんだ」って、教えてくれた。あと、「いくらよい製品のアイデアがあっても、OTがないと、ものづくりにならない」んだって。パパって、いろんなことを知っていてすごいなぁ。

 

さて、ご理解は深まったでしょうか?

【執筆:編集Gp 坂本 嶺】

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