使える! 情シス三段用語辞典99「デジタルツイン」

常に新しい用語が生まれてくる情報システム部門は、全ての用語を正しく理解するのも一苦労。ましてや他人に伝えるとなると更に難しくなります。『情シスNavi.』では数々のIT用語を三段階で説明します。

一段目 ITの知識がある人向けの説明
二段目 ITが苦手な経営者に理解してもらえる説明
三段目 小学生にもわかる説明

取り上げる用語を“知らない”と思った人は、小学生にもわかる説明から読んでみると、理解が深まるかもしれません!?

一段目 ITの知識がある人向け「デジタルツイン」の意味

<画像出展:https://www.fujitsu.com/jp/solutions/industry/contents/trends/06/03/index.html

デジタルツインとは、そのものずばり「デジタルの双子」を意味しています。物理空間にある現実の機器や設備の稼働状況、環境情報などをリアルタイムで収集する一方、サイバー(仮想)空間上に機器や設備を構築し、これらのデジタル情報(モデル)を用いてシミュレーションを実施することで、設計の改善や環境に応じた動作指示、故障予測などを可能にするソリューションのことになります。
サイバー空間上に物理世界の情報を全て再現することから“双子(ツイン)”と表現されます。
このデジタルツインにより、効率的な設計開発や運用管理コストの最適化などが期待されています

IT調査会社の大手であるガートナー社が「デジタルツイン」を2019年の戦略的に重要なテクノロジーの一つに選定するなど、IT・ICT分野でも注目を集めています。近年、IoTの発展により広範囲に分散されたモノの情報を詳細かつリアルタイムで取得することが可能になり、デジタルツインは概念ではなく実際に現場レベルで活用できる段階に入りました。
かつては物理的なプロトタイプを作り、そのモデルをコンピュータに取り込んで、有限要素法などの解析手法を使ってシミュレーションを行っていましたが、はじめに作ったモデルは基本的に変わることはなく、変わるのは入力値だけという状況でした。
しかしながら、実際には刻々と状況は変化しています。
デジタルツインではシミュレーション結果をモデルにフィードバックし、さらに従来のコンピュータシミュレーションが理論的な入力値だけで行われていたのに対し、現場で収集されるリアルなデータを入力値として与えて、物理モデルにも更新をかけていくことでより高精度な結果を導けるようになりました。

また、デジタルツインの用途の中には、最新の通信技術で有用性がさらに増すものもあります。今後の展開として注目されているのは5Gで、通信のさらなる高速化により、より大きな価値を生み出すといわれています。

5Gの実現により、さらなる高速化が進めば、ほぼリアルタイムでの分析が実用化できます。従来の通信速度では、例えば工場においてIoTを駆使してデータを集めても、分析を行うデータセンターとの通信に20m秒ほどの遅延が生じる為、これが許容されないリアルタイムを求める世界では使えませんでした。
一方で、5Gでは、遅延時間が2m秒ほどに縮まり、十分に実用化できると見られています。

このデジタルツインの取り組みとして有名なところでは、GEの取り組みがあげられます。

■GEでの導入事例とその効果

<データ出典:GE資料>

GEだけでなく、ロールスロイスもデジタルツインを活用し、製造業からサービス業への転換を図るきっかけとしています。
デジタルツインが生産過程の効率化だけではなく、新たなビジネスを生み出したと言っていいでしょう。

二段目 ITが苦手な経営者向け

とある工作機械メーカーの社長が、情シス担当の鈴木悟さんと「デジタルツイン」について尋ねています。

社長:最近、「デジタルツイン」が注目されているらしいね。

鈴木さん:はい。大手の経済紙でも何度も取り上げられていまして、世間の注目を集めていることは間違いありません。

社長:やっぱりか!だが、デジタルのツイン、双子?だってことはわかるんだけど、具体的にはどういうものなのかな?

鈴木さん:うーん、そうですね…。ウチの工作機械であれば、設計段階で本物と瓜二つに似せたモデルをコンピュータ上で作り、そのシミュレーションすることで、設計試作と併行して、動作検証や故障予測などが高い精度で行えます。

社長:へぇ、シミュレーションかぁ…。だとしたら前から同じような技術もあった気がするけど…。

鈴木さん:昔のシミュレーターは机上の空論といっては語弊がありますが、モデルが更新されないため、実際の状況とは乖離がありました。デジタルツインでは、工作機械にセンサーを取り付け、そこから収集したデータを、即座に反映させて、リアルタイムに分析するところが大きな違いになります。
実際のデータを使って機械の動きを再現しますので、より精緻な分析ができます。多分…。

社長:ほう、ほかにも色んな使い道がありそうだな……

鈴木さん:おっしゃる通りですね。現実の環境とそっくりなモデルをコンピュータ上に再現して応用するという意味では、シンガポールの自国内の環境を3Dモデルで再現しようとする取り組みも一種の「デジタルツイン」と言っていいかもしれません。

社長:なるほど、いろいろあるんだねえ。我が社だとどんな使い道がありそうかな?

鈴木さん:工作機械を売っていますからね。やはり典型的な、商品開発をする際に実際にモノを作る前にコンピュータで3Dモデルを作って動かしてみるシミュレーションが一つでしょうね。
他にも、稼働後のモニタリングとメンテナンスを行う際により詳細で迅速な分析をしたり、センサーなどの装置を組み込んでリアルタイムに分析をするための準備をしておけば故障前に部品を交換するといった修理を行うサービスも考えられますね。

社長:うむ。もっと詳しく検討しても良さそうだな。事業として考えてみよう。

三段目 小学生向け

みなさんは公園の砂場でお城を作ろうとした事はありますか?(最近は砂場を閉鎖してしま多公園も多いのですが。) 実際にお城を作ることは難しいですが、砂場のお城はモデルとなるお城を砂で再現しているとも言えます。 今日のテーマである「デジタルツイン」は、パソコンの中で現実のモノに瓜二つなモノをデジタルで作り出し、活用する試みのことを言います。
英語を理解するには少し早いかもしれませんが、デジタルツインはパソコンの中で「デジタル」に作られた、そっくりなものの例えとしての「双子:ツイン」と理解してくれれば良いと思います。
例えば、砂のお城で塔を高く積み上げていくとどこかで崩れてしまいます。でも、どこまで積み上げると崩れてしまうのか分かっていれば、崩れる手前までで積み上げるのをやめることができます。
デジタルツインがあれば、パソコン内で砂のお城の“モデル”を積み上げていくことで、どこまで積むと崩れるかを計算することができます。
しかしながら、実際の砂のお城では、風が吹いたり、砂に含まれる水分量が異なったりします。そんな現場の状況をセンサーなどを通じて計測し、そのデータをリアルタイムにモデルに入力し続けることで、高精度な結果となるのです。
このような仕組みがあれば、砂のお城が崩れてしまって何度も作り直すこともなくなりますね。

 

さて、皆様のご理解は深まったでしょうか?

 

【執筆:編集Gp 宮崎二郎/ハラダケンジ】

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