使える!情シス三段用語辞典116「DSDS」

常に新しい用語が生まれてくる情報システム部門は、全ての用語を正しく理解するのも一苦労。ましてや他人に伝えるとなると更に難しくなります。『情シスNavi.』では数々のIT用語を三段階で説明します。

一段目 ITの知識がある人向けの説明
二段目 ITが苦手な経営者に理解してもらえる説明
三段目 小学生にもわかる説明

取り上げる用語を“知らない”と思った人は、小学生にもわかる説明から読んでみると、理解が深まるかもしれません!?

一段目 ITの知識がある人向け「DSDS」の意味

「DSDS」は、前半の「DS」と後半の「DS」で意味が分かれ、それを一つに表しています。
一つ目の”DS”は、「デュアルSIM(Dual SIM)」、つまり一つの携帯端末に2種類のSIMカードを挿すことができることを意味しています。
そして二つ目の”DS”は、「デュアルスタンバイ(Dual Standby)」、つまり挿入されたSIMカードはどちらともにスタンバイ状態、すなわちどちらのSIMも常時使える状態となっていることを意味しています。

そもそも、SIMカードに利用者の契約情報が書き込まれており、携帯キャリアとの契約はこのSIMカードを契約していることになります。古くはPDCの時代にはSIMカードが採用されていなかった為、機器に直接契約者情報を書き込んでいましたが、3Gを世界共通規格とする際に欧州を中心に使われていたGSMで採用されていたSIMが使われることになったのが始まりです。
日本においては携帯キャリアによる端末販売が盛んであり、その結果、SIMロック端末がほとんどであったことから、SIMを差し替えて使えるという便利さはほとんど活かされることがありませんでした。
近年、端末販売の分離が意識されるようになり、「SIMフリー」と呼ばれる携帯キャリアの制約を受けないSIMカードの挿し替えができる機種が登場したり、携帯キャリア側も一定要件を満たせばSIMロック解除が可能となるように制度も変わってきました。

但し、スマートフォンになって端末価格はますます上昇し、”超小型のパソコン”ともいえる今のスマートフォンは割賦による購入が大部分を占めることから、実質的なSIMロック状態にあり、端末とキャリアを自由に選べるという理想はまだまだ遠いのかもしれません。

少し話がそれてしまいましたが、国内においてもようやくSIMカードを2枚挿せる端末が購入できるようになるなど、端末とキャリアの選び方・使い方は以前よりも確実に自由になってきています。

通話機能のみならず、メールにチャット、スケジュール管理に資料確認にと、スマートフォンは電話の域を超えてさまざまな機能でビジネスに貢献するようになりました。このようにビジネスに寄与してくれるスマートフォンですが、従業員は当たり前のようにプライベート用のスマートフォンも持っています。
しかしながら、2台の端末を持つのは正直“めんどう”だと思うのも人心。使う端末を間違えてしまうリスク、片方を忘れてきてしまうリスクも大いにあります。

そして情シスから見れば、従業員の端末の管理は物品管理・情報セキュリティ管理上とても重要なものです。2台持ちの手間やわずらわしさから起こりうる紛失や情報漏えいのリスクをなるべく減らしたい、けれどもBYOD等で1台に統合したとすれば、利用分の公私の区別が大変――。

それを解決するのが「DSDS」というわけなのです。

DSDSでは異なるSIM、つまり異なるキャリアの電話番号を1つの端末の中に共存させることができます。どちらの番号に電話がかかってきても1つの端末で受けることができます。待ち受けするための切り替え操作などは不要です。
業務用/プライベート用に分ければ、情シスは業務用端末(SIM)だけを純粋に管理すればよく、かつ従業員の手間も減らせるというわけです。

ただし通話以外のネット通信はどちらを使うか都度切り替えが必要となります。また、2つの回線の同時使用はできないため、どちらかの通話中に他方での通話・ネット通信を行うといったこともできません。

更に、もう一つデメリットを挙げるとすれば、4G回線を2つ使うことができないため、どちらか片方は3G回線となることにも注意が必要です。

尚、DSDS対応機種の中には、SIMカードの代わりにeSIMを利用する機種もあります。
eSIMは挿し替えのできるSIMカードと異なり、端末に埋め込まれているチップ型のSIMです。埋め込まれているので取り外しはできません。しかしながら、書き込まれている契約情報をネットワーク経由で書き換えすることができる機能があります。
そのため、物理的な取り外しを行わずに、キャリアを自由に選ぶことができます。契約変更から設定まで全てオンラインですることが可能なので、物理的なやりとりが不要でさらに効率的です。

 

二段目 ITが苦手な経営者向け

とある会社の社長、会議が終わって休憩しようとしていたときにスマートフォンが鳴り、あわてて出たものの……。

社長:「はい、お世話になっております……ってあれ? 電話に出られないぞ!? あー、切れちゃった」
出水さん:「社長、そちらはプライベート用の端末ですね」
社長:「あっ、本当だ。これは私物の方だった。もう、紛らわしいんだよね。すぐ間違えちゃう。こっちはもっと違うスマホケースに変えようかなあ。出水さん、最近はどんなスマホケースが流行っているか教えてくれます?」
出水さん:「スマホケースを変えるより、スマホ自体を変えてもいいかもしれませんね。実は社員の中でも、今のような取り違えが多く起こっていることもあって、情シスの中でも少し対応を検討しているところなんです」
社長:「そうか、間違えるのは私だけではなかったか。ゴホン、いや、それでどんなスマホだったら間違えないようにできるんですか?」
出水さん:「それが、DSDS対応の機種を検討しています」
社長:「デュアル……なんだって?」
出水さん:「デュアルSIMというのは、スマホにSIMを2枚入れることができるという意味です。そしてデュアルスタンバイというのは、2枚のSIMのどっちもすぐに使えるって意味なんです」
社長:「ほう、SIMをね……2枚ね……? うーん、どういうことなんだい」
出水さん:「SIMって、スマホのプランを契約したらそのお店で受け取りますよね。SIMは契約プランと対応しています。2つのSIMを入れられるってことは、1つのスマホで2つのプランを併用できるっていうことなのです」
社長:「ふむふむ。」
出水さん:「今、2台持っているスマホのSIMを両方ともDSDS対応の機種に挿しておけば、どっちの電話番号も1つのスマホで使うことができます」
社長:「それは便利だ! でも、どっちを使うかってどうやって選ぶの? 切り替えボタンとかあるのかな?」
出水さん:「着信は、どちらのSIMの番号か表示されるので大丈夫です。こちらからかけるときは使う方の番号を都度選んでかけます。待ち受けは両方同時にできるので、切り替えしなくても着信にすぐ出ることができますよ」
社長:「でも、セキュリティ的には安心なんですか?」
出水さん:「もちろん、セキュリティは考えなければなりません。うちは、そもそも紛失のリスク等から重要なデータはクラウド上で保存してスマホの中には残さない運用となっています。とはいっても、もちろん、社内規定に違反するアプリは勝手に入れたりできないように管理はしっかりやらないといけません」
社長:「そうですよね。検討が進んだらまた状況を聞かせてください。……あ! 先方に早くかけなおさなきゃ!」

 

三段目 小学生向け

小学生のユウキくんのおうちでは、自宅を改造したカフェを営んでいます。
両親がDIYでリフォームしたこだわりの内装は居心地がよく、近所でも評判です。ユウキくんも宿題が終わるとお店を手伝います。カフェの一角で古風な黒電話が鳴りひびきます。

ジリリリリリリ

「お電話ありがとうございます! こちらカフェ・・」
「おーいユウキ! 今週の土曜ってヒマ? みんなで釣りに行かない?」

お客さんではなくてお友達からの遊びの誘いでした。

「あー、ちょっとまってね! 今ちょっと電話しなきゃいけないお客さんがいるから、あとでかけなおす!」ガチャ

ジリリリリリリ

「もしもし! もう、あとでかけなおすってば!」
「あのう、カフェの席を予約したいんですが……?」

ユウキくんはお客さんの電話とお友達の電話を間違えてしまいました。そしてその夜のこと。

「ねえお父さんお母さん。友達から電話来るときもあるんだから、電話もうひとつ作ってよー」
「そうだね、ユウキも大きくなってきたし、他にもお客さん以外からの電話も来るものね」
「そうだなあ、じゃあもう一回線引くか」

そしてカフェのもう一角に自宅用の電話がひっそり置かれ、いつでもユウキくんはまちがえずにお友達と電話をすることができるようになりました。
1つのおうちに「自宅」と「カフェ」の2つの役割があると、電話が1つしかなければ、自宅に用がある人とカフェのお客さんが電話してきてもどちらかわからないですよね。でも、自宅用とカフェ用の2つ電話があれば、どちらへの電話なのかがわかります。

さて、「DSDS」とは、2つの電話番号を持つ1つのスマートフォンのことで、今回の二回線目をひいたユウキくんのおうちのようなものなのです。
DSDS対応のスマートフォンは、SIMカードという通信のためのカードを2つ挿して使うことができます。これでド〇モとソフト〇ンクのように別々の会社の電話番号を使うことができます。この2つの番号があるので、例えばお仕事で使う用の電話番号と、自分が家族や友達と使うための電話番号を使い分けられるのです。
カフェだって別に建物を建てればお金もかかるし行き来するのも大変ですが、1つの建物で自宅を兼ねていれば便利です。スマートフォンも仕事用と自分用を別々に持つより1つにまとめたほうが楽なのです。
そして、DSDSで電話番号を分けて使うことができれば、ユウキくんのようなまちがいも減り、もっと便利なのです。

 

さて、皆様のご理解は深まったでしょうか?

 

【執筆:編集Gp 星野 美緒】

関連記事

ピックアップ記事

  1. 「身内であっても全員疑え!」そんな手厳しい考え方が主流になろうとしています。 10年以上前に提唱さ…
  2. テレワーク(在宅勤務)はコロナ禍以前にも東京オリンピック2020の混雑緩和を目的に「テレワークデイズ…
  3. 常に新しい用語が生まれてくる情報システム部門は、全ての用語を正しく理解するのも一苦労。ましてや他人に…
  1. シリーズ『IDaaSの教科書』1)IDaaSって何ですか

  2. 【情シスの疑問】テレワークにVPNは必要なのか

  3. 「ゼロから学ぶ」ゼロトラスト#03:優先順位がキモ、ゼロトラストセキュリティ構築手順

  4. 知っ得スキル!もらってうれしいRFP ~最終章~提案受領へ

  5. 松田軽太の「一人情シスのすゝめ」#13:情シスは果たしてIT介護者なのか

  6. 続2020年問題:もう目前!Microsoft製品の更なるサポート終了

  7. 松田軽太の「一人情シスのすゝめ」#12:ウィズ コロナ時代に『どう働くべき』を考える

  8. 「ゼロから学ぶ」ゼロトラスト#02:ゼロトラストモデルが求める7つの要件とは

  9. 怪しい添付ファイルやURLリンクを開いてしまったときの対処法【2020年】-is702

  10. 中小企業向けテレワーク(在宅勤務)ツール14選~コラボ業務編~

プレスリリース

登録されているプレスリリースはございません。

関連サービス

Banner_Josyscareer

Banner_ITMS

Banner_ITMSD

おすすめ記事

  1. Webサービスの利用が増える中、新しいセキュリティ技術「Webアイソレーション」が注目されています。…
  2. 働き方改革の盛り上がりもあり、近年、耳にする機会が増えた「テレワーク」と「リモートワーク」。これに対…
  3. WebサイトのURLには「http://」で始まるものと「https://」で始まるものの2種類があ…
  4. 最近では、働き方改革の旗振りのもと、多くの企業が在宅勤務やサテライトオフィスを導入するようになり、リ…
  5. 2000年にリリースされたWindows 2000 Server で初めて登場したActive Di…
ページ上部へ戻る