kintoneを“必修”科目に初導入!大阪産業大学のチャレンジで見えたもの vol.3 「情報システム学科の現状 kintoneを導入したワケ」/ジョーシス

  • 2016/9/8
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2016/09/08

kintoneが、初めて大学の必修科目のカリキュラムで採用される」という知らせを受けて、サイボウズ社のkintoneビジネスプロデューサー中村龍太氏とともに、大阪産業大学 デザイン工学部 情報システム学科の山田耕嗣先生を訪ねた。山田先生が打破したいと思った情報システム学科の現状とはどんなものだったのか。(全6回 取材・文:井ノ上美和)

学生集めに必死!文系でもOK!

私大の半数が定員割れをしているこの少子化時代、どこの大学も学生集めに必死になっている。学生集めの対策のひとつとして、これまで理系の学生を対象にしていた情報系などの学部や学科で、英語と国語の2科目入試を認めている大学も多い。理系だけでは人数が集まらないのだから文系も取り込もうというわけだ。確かにこれなら、大学側の利だけでなく、情報システムには興味があるが、数学は苦手という文系の学生にも情報システムを勉強するチャンスが開ける。最近の情報システムの領域の広さや多様性を考えると、理系でなければ情報システムの仕事はできないとも言い切れない。むしろ理系の能力だけでは対応しきれなくなっていることも多い。

大阪産業大学でも文系の2科目受験を実施しており、今回取材したクラスでも20名中、4人が文系出身だった。しかし、文系の学生は例え2科目受験で合格しても、入学してから現実を見ることになる。

大阪産業大学の情報システム学科2年生の必修授業「情報システム基礎演習」は、6つのテーマからなる。コンパイラ、画像処理、コンピュータグラフィックス、論理回路、クラウドコンピューティング、Webページ制作で、担当する先生もそれぞれ異なる。クラウドコンピューティングがkintoneを使った山田先生の授業。2年生110名の学生を約18名ずつ、6つのグループに分け、週1回(3時間)×2週にわたって1つのテーマを学び、前期を通して6つのテーマをローテーションで回る。つまり計6時間で、それぞれのテーマについてある程度の知識と技術を習得しなければならない。

プログラミング言語の洗礼が芽をつぶす

学期初めの必修科目のガイダンスでは指導書が配布され、そこに各テーマの概要が数ページにわたって書かれていた。指導書をパラパラめくると、そこには演算子や変数がずらーっと並ぶC言語や回路図が書かれており、まさに文系の人なら一発で目眩を起こしそうな内容だ。かくいう私もコテコテの文系なので、すぐに目がチカチカして指導書を閉じた。これが必修科目の指導書だ。数学力をそれほど問わないから、文系でも入学可としているわけではないのか

情報システム学科に限ったことではない。入試制度は変わっているのに、カリキュラムは変わっていない、これが多くの大学の現状だ。

山田先生はそこに疑問を感じた。

プログラミング言語の洗礼を受け、挫折した文系学生は、当然「もう情報システムの勉強はムリ!」と思い込んでしまう。プログラミングは確かに重要だ。しかし、プログラミングを習得していなければ情報システム系の仕事はできないのかというと、必ずしもそうでもない。実際にIT企業や一般企業の情報システム部門でも、コミュニケーション能力やマーケティングスキル、語学力などを重視して文系の人財を多く採用しているし、文系出身でもIT業界で活躍している人はたくさんいる。

 

 

重要なのは、選択できるということだ。プログラミングが好きな人はどんどんプログラミング技術を習得すればいい。高度なプログラミングができる人財は絶対に必要だ。プログラミングが苦手な人は、論理的思考力やコミュニケーション能力など、情報システム業務で必要とされるスキルは他にもいろいろあるのだからそちらを磨けばいい。例えはじめはプログラミングに苦手意識を感じていても、kintoneのような簡単なアプリ制作をきっかけに、情報システムが面白くなり、もっと色々なことをしてみたい、JAVAC言語も勉強してみたい!と思うようになる可能性も十分ある。興味を持つようになれば、自然とその根本にあるものや、その先にあるものも学びたいと思うようになる。

現に授業を受けた学生たちからも「今まではプログラミングを必ずマスターしなければいけないと思っていましたが少し考え方が変わりました」、「最初はアプリを作ると聞いて、自分の苦手なことだなと思っていましたが、自分でも作れるんだと自信を持てました」、「こんなに簡単にみんながアプリを作れるようになったらとても便利。難しいとは思うが、kintoneのような誰でも使えるアプリを作ってみたい。」といったポジティブなコメントが出ていた。中には、「最近の他の大学ではプログラムだけを作っておしまいということが多い。それだけでは企画作り、ユーザーのニーズ、イレギュラーなどに対応できない」というなかなか鋭い指摘もあった。

文系の学生にも情報システムとは何かを理解してもらい、プログラミングの壁で道を塞ぐことなく、情報システムの可能性や楽しさを学んでもらう。例えばkintoneならそれが可能だ。

何も始めからプログラミング言語の洗礼で、若い芽をつぶすことはない。

グローバル社会で生き残れるか

学生不足を解消する手段として、文系の学生を対象とする以外に、留学生を積極的に受け入れているという大学も多い。

 

日本への留学生の数は一貫して上昇傾向にあり、2015年には20万人を越えた。圧倒的に多かった中国人留学生は、ここ23年数が減ったものの、ベトナムやネパールからの留学生は急激な増加傾向にある。大阪産業大学でも、全体の学生数における留学生の割合は約12%にのぼる(20155月)。通学用のシャトルバスの中や校内でもアジア系の留学生をちらほらと見かけた。

一般的に留学生の学習意欲や能力は、日本人学生より高いと言われる。母国語ではない日本語で、日本人学生と同じカリキュラムを学ぶのだから、語学力の分だけでもかなり差をつけられていることは間違いない。アジア諸国の経済的・社会的背景などを考慮すれば、どれだけ経済的にも精神的にも覚悟をして日本に来ているか、真剣に何かを身につけるということと向き合っているかは想像がつく。大学院へ進む学生の割合が、日本人より留学生の方が多くなってきているという話もある。

一方で、日本の大学は、世界レベルでみると決してレベルが高いとは言えない。アジアの中でも経済状況のよい中国人留学生が近年、日本ではなく、アメリカやイギリスなどの名門校に留学しているのは、より高い教育レベルを求めているからに他ならない。

留学生を誘致するためだけではなく、これから国際社会に飛び立つ日本人学生のためにも、大学のカリキュラムは国際レベルを意識したものに改善されていかなければならない。今後益々グローバル人財が必要となる企業にしても同様のことが言える。

教育機関でも企業でも、好むと好まざるとに関わらず、本当のダイバーシティに適応しなければ生き残れなくなる日がすぐやってくる。

井ノ上美和(いのうえ・みわ)

メキシコ、スペイン在住歴6年のラテン系。通信ベンチャー、医療用具メーカーなどの国際ビジネス業界で、オペレーション・営業のマネジメント、採用・社員教育、ISO/FDAの品質監査、広報、システム構築など、さまざまな業務に携わった経験を活かし、海外および国内企業で業務・組織改善、人財育成などのコンサルティングや研修を行う。学習院大学、HAL東京などの教育機関や大手IT系企業を中心に、人生観や生き方をテーマにした講演会も展開。スペイン語の通訳翻訳業では、ビジネス通訳のほか、フジテレビ「奇跡体験!アンビリバボー」などメディアにも出演。ジョーシス顧問。

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