kintoneを必修科目に初導入! 大阪産業大学のチャレンジで見えたもの Vol.1 「 コスト低!カンタン!汎用性高! でも大学導入が難しいワケ」

  • 2016/8/25
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2016/08/25

kintoneが、初めて大学の必修科目のカリキュラムで採用される」という知らせを受けて、サイボウズ社のkintoneビジネスプロデューサー中村龍太氏とともに、大阪産業大学 デザイン工学部 情報システム学科の山田耕嗣先生を訪ねた。まず「kintoneが初めて、大学の必修科目のカリキュラムで採用されること」にどんな意味があるのか、そこから書こう。(全6回 取材・文:井ノ上美和)

 

そもそもkintoneとは?

情シスの方ならもうご存知かとは思うが、kintoneについて簡単に説明しておこう。kintoneはサイボウズ社が提供する業務アプリを作成するためのクラウドサービス。プログラミングをすることも専門知識も必要なく、ドラッグ&ドロップでwebデータベース型のアプリケーションを簡単に設計することができる。シンプルなものであれば、数分で業務アプリが作成できる。ユーザーが自分たちでアプリを開発し、利用しながら随時改善を加えていけるので、システムの開発プロセスやコストを大幅に削減することが可能だ。

kintoneがクラウド業界をにぎわせているのは、まさに欲しいものをすぐに自由にという時代のニーズやビジネスモデルにマッチしているからに他ならない。

安価で、汎用性が高く、導入も操作もカンタン!とくれば、企業だけでなく、大学等の教育機関でも導入するところが続々と現れそうな気がする。しかし、現実には、ゼミなど少人数の授業ではすでにkintoneを活用しているところはあっても、学校全体あるいは学年全体での導入というのは、これまで例がなかった。

大学導入の現状「前例のないことは難しい」

左から、中村龍太氏、山田耕嗣先生、聞き手の井ノ上美和

左から、中村龍太氏、山田耕嗣先生、聞き手の井ノ上美和

サイボウズ社の中村龍太氏は、複業のエバンジェリストとして、あちこちのメディアで取り上げられているので、ご存知の方も多いかもしれない。マイクロソフト社を退職後、2013年にサイボウズ社とダンクソフト社という2つのIT企業で複業をスタート。しかも奥さんの実家が農家で、農業も継いでいる。今ではNKアグリ社にも加わり、計3+農家の“複業”をこなす。まさに新しい働き方のエバンジェリストでもある。

私が龍太氏に出会ったのは、龍太氏がマイクロソフト社に勤務していた頃。サイボウズやkintoneがこれほどブイブイ言わせる前のことだ。サイボウズに転職し、kintoneの活用分野を開拓するプロデューサーとして活動することになった龍太氏は、kintoneの新たな可能性を見出そうと、教育の場つまり学校でのkintoneの導入にチャレンジする。「普段使わない人が使ったらどうなるか、を見たかった。普段使う人たちでは思いつかないようなことをやってくれるんじゃないかという期待があって」(龍太氏)。

私も何度か龍太氏と一緒に大学を訪問してkintoneの紹介をしたことがあるが、大学でkintoneを利用してもらうというのは予想以上にハードルが高かった。安価で、汎用性が高く、導入も操作も簡単なのにも関わらず、だ。

大学の縦割り構造の弊害で許可をとるのが難しかったり、「前例のないことは難しい」と言われたり。前例がないので、誰が許可を出すのかもわからないのだ。こういう壁はkintone導入に限ったことではない。それならイノベーション推進を謳っているところに!と某国立大学のイノベーション推進担当の教授に話をしに行ったら、「イノベーションとはそういうものではない!」とお叱りを受けたこともある(何かもっと高尚な何かをイノベーションとお考えだったようだ)。

山田耕嗣先生

山田耕嗣先生

ゼミであれば担当教授の裁量で導入を決められるので、専修大学などすでにkintoneを利用しているところもあるが、学部や学年単位での大規模な導入例は今までなかった。それだけに、今回大阪産業大学が情報システム学科2年生の必修科目の授業でkintoneを導入したというのは、非常にインパクトが大きい。

日本は、企業のIT化だけでなく、IT教育や教育分野のIT化も、他の先進国に比べて大幅に遅れをとっていると言われて久しい。

文部科学省は、2020年から小学校でのプログラミング授業を義務付ける方向で動き出した。プログラミングと言っても、C言語を覚えさせようというのではない。プログラム作成技術ではなく、あくまで論理的思考力などの育成が狙いだ。確かに、コンピュータリテラシーよりも、まずは情報リテラシーの教育だろう。

では、大学ではどうだろうか。

 

数年後には、社会人となり、企業や社会活動の一端を担っていく大学生たち、特に情報系学科の学生たちは、これからの情報システム社会に求められるスキルや思考力、順応性などを身につけつつあるのだろうか。あるいは身につけられる環境にいるのだろうか。

一部の研究室ではAIなどのかなり高度なシステム開発をしているところもあるし、学生全員にiPadの購入を義務付けているという大学もある。しかし、残念ながら、kintoneのようなアジャイル型のシステム開発や、クラウドサービスを授業に導入するということが 画期的だと言われるほど、日本の大学でのIT教育は遅れている。

今回の山田先生や龍太氏へのインタビューあるいは授業の取材の中で、kintone導入というチャレンジを通して見えたもの

・教育現場の現状

・学生たちは何を学んだのか

・そこから見える課題

など、大学でのリアルなIT教育の現状を綴っていく。

井ノ上美和(いのうえ・みわ)

メキシコ、スペイン在住歴6年のラテン系。通信ベンチャー、医療用具メーカーなどの国際ビジネス業界で、オペレーション・営業のマネジメント、採用・社員教育、ISO/FDAの品質監査、広報、システム構築など、さまざまな業務に携わった経験を活かし、海外および国内企業で業務・組織改善、人財育成などのコンサルティングや研修を行う。学習院大学、HAL東京などの教育機関や大手IT系企業を中心に、人生観や生き方をテーマにした講演会も展開。スペイン語の通訳翻訳業では、ビジネス通訳のほか、フジテレビ「奇跡体験!アンビリバボー」などメディアにも出演。ジョーシス顧問。

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