Windows10時代のPC調達術~「ライフサイクル」を意識して賢くPCを使う~2

2017/06/05

第1回では、Windows10PCへの移行を契機に、導入の企画・計画、調達、導入、運用・保守、撤去といった「ライフサイクル」を意識したPC導入を考えようという話をしました。そして、今回からはライフサイクルを意識した具体的なPCの調達方法を解説していきます。まずはライフサイクルの最初となる「企画・計画」です。このフェーズで考えるのは性能などの「PCの選択」です。(構成・文:三好裕紀<Yu-Factory>)

「今」ではなく「数年後」を考える

PCの選定で導入担当者の頭を常に悩ませるのが、「どれぐらいの『性能』のPCを導入すればいいのか?」ということでしょう。

一般に企業のPC導入では、どうしてもコストが優先になりがちです。例えば、メモリで4GBと8GBで価格差が1万円、またはストレージでHDD(ハードディスク)とSSD(ソリッド・ステート・ドライブ)で価格差が1万5000円となった場合、どうしても安い方を選ぶ傾向があります。

もちろん、予算に余裕があれば「最高機種」を選ぶことがベストです。しかし、「最高機種を購入したい」と上司に言えば、「何をぜいたくなことを言っているんだ!」と怒られるのが普通でしょう。そこで、「コスト」と「性能」のバランスをいかに考えて調達するかが、導入担当者の腕の見せどころになります。

さて、導入に際して注意しなくてはいけないのは、「今」を満たす性能ではなく、ライフサイクルを見通した「数年後」に必要と見込まれる性能を考慮しておくことです。

一般的にOS(基本ソフト)やアプリケーションソフトはバージョンを重ねるごとに、PCに求める性能が上がっていきます。これは年々PCの性能が上がっているため、それに合わせてソフトウエアも、できることを増やして高性能になる傾向にあるからです。

「うちの会社は、5年間ソフトのバージョンアップは考えていないから大丈夫」という企業もあるかもしれません。しかし、Windows10は少しずつバージョンアップが「自動で」行われていくのです。マイクロソフトは、アップデートで、できるだけ過去の機種でもストレスを感じないようにするとしていますが、ある機能は「一定以上の性能がないと使えない」という場面も出てくると考えられます。だからこそ、「今」ではなく、数年先を見据えたPCの選択が不可欠なのです。

数年後の技術動向を見通す

今後、一定の性能がPCに求められると考えられる要因の1つが、「AI(人工知能)を使った機械学習」です。今はまだ、ごくごく一部でしか使われていませんが、この数年で飛躍的に実用面での応用が進み、オフィス業務にも浸透してくると思われます。

機械学習は比較的単純な計算を大量に行います。その作業をスムーズに行うためには処理速度が速いCPU(中央演算装置)と、それを支えるために容量の大きなメモリがPCに求められます。機械学習は業務効率を上げるために導入されますが、それがPCの動作の遅くするのであれば本末転倒です。それを回避するためにも導入するPCの性能は吟味する必要があります。

具体的にどれぐらいの性能で選べばよいのか

ただ、PCの性能は年々上がっており、具体的にどれ位の性能を、というのを提示するのは難しいところです。ここでは2017年5月時点で販売されているPCの性能を元に、数年先を見越してオフィス業務用でこれぐらいあれば十分だろう考えられる性能の例を示します。まずはCPUからです。

■CPUは「Core i5以上」

CPUは、PCの頭脳部です。一般的にオフィス業務用であれば、インテルのCeleronやPentiumでも十分といわれていますが、最近はプレゼンテーションで画像や動画をふんだんに使うこともあります。そう考えると、最低でもインテルのCPUで「Core i3」か、できれば「Core i5」は選びたいところです。

■メモリは「8GB以上」

次はメモリです。多くのオフィス業務用PCのメモリは4GBの搭載が標準のようです。しかし、画像や動画の使用が当たり前になってくると、メモリが4GBでは処理に時間がかかる場面が多くなると考えられます。そのため、メモリは倍の8GBにするのがよいと思われます。また、予算に余裕があれば、先々を考えて16GBにしてもよいでしょう。

■ストレージ(ディスク)は「256GB以上のSSD」

今ではHDDの価格が非常に安くなり、ノートPCで1TBのHDDが標準搭載されている機種も少なくありません。一方、SSDはHDDに対して容量・コスト比で8倍ぐらいかかります。価格では1TBのHDDと128GBのSSDが同じぐらいです。しかし、SSDはデータへのアクセスがHDDよりも3倍ほど速いというメリットがあります。

ディスクの読み込み速度はOSやソフトの起動に大きく影響します。Windows10はSSDを最大限に生かす設計になっています。そのため、SSDを積極的に選んだ方がよいでしょう。容量は、企業内ではファイルサーバーやNAS(ネットワークHDD)などの環境もあると思われるので、オフィス業務用ならば256GBで十分な容量でしょう。

「生産性を高める道具」としてのPCを導入する

一方で、PCは「生産性を高めるための道具」ということを忘れてはいけません。だからPCによって「業務の生産性が落ちる」ことがあってはいけないのです。しかし、PCも導入して4年ぐらいが経つと、起動後の10分間ぐらいはディスクのアクセスなどで満足に使えないことがあります。

仮に時給2000円(年収で350万円弱)換算の人が、こうした動作が遅い業務用PCを使っていると、年間で約5万円分の時間を失っていることになります。また、こうしたPCは通常使用時の動作もかなり遅くなっているので、より多くの損失をしていることが想定できます。

これを避けるためには、それよりも2ランク以上の機種を選ぶのがおすすめです。基準となるのは一般に業務用として販売されているPCで一番下のモデル。具体的な性能は、CPUがCeleronかPentium、メモリ4GB、HDD容量が500GBになります。これを基準に2段階上の機種を選ぶとよいでしょう。

価格面で比べると2つのモデルでは、ほとんどのメーカーで10万円の差はありません。仕事の生産性の面から見れば投資の価値はあるといえます。このように、導入時にPCによる生産性をしっかり検証し、機種選定することで、結果的にコストパフォーマンスが高く、使う人の生産性を損なわないPC導入が実現できるのです。

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